映画:「狼/男たちの挽歌・最終章」/性欲レス理想像様式美

amazon ASIN-B00013F5G0ジョン・ウー「狼/男たちの挽歌・最終章 」(1989/香港)を観た。邦題に「男たちの挽歌」が入っているけど、そのシリーズとは全く関係ない別物である。しかしながらこの映画をジョン・ウーの香港ノワールで一番だと言う人も多いらしい。
もうタイトルだけで恥ずかしいけど、内容もそれに劣らず恥ずかしい。ツイ・ハーク、ジョン・ウー、チョウ・ユンファとくれば内容はもう観なくてもわかるようなもんである。
一度は引退した殺し屋が最後の仕事の時に巻き添えにして目を怪我させてしまった女性の為にもう一度仕事を請け負ったものの陰謀に巻き込まれ、そこに地元の警察も絡んできてなんたらかんたらという感じのストーリー。
殺し屋だのヤクザだのマフィアだの警察だの、仁義だの友情だの愛だのともう暑苦しい上に恥ずかしい。冒頭から最後までハンドガン両手持ちで撃ちまくりで血しぶき飛びまくりである。


ティ・ロンやディーン・セキのいる「男たちの挽歌」と比べて彼らのような脇役の渋みが少ないけどその分チョウ・ユンファが目立ってる。そして全体的に「男たちの挽歌」よりも妙な濃さがある。
この映画唯一のロマンスの当人であるチョウ・ユンファが性欲など微塵も見せずにあまりにもプラトニックなので逆に余計に暑苦しすぎる。
主役級の弾の当たらなさと弾の無くならなさと、ワンマグくらい撃ちこまれながら踊るように倒れるあまりに射撃の下手なザコ敵など、もう完全な様式美である。
なんつーか無駄に強くて熱くて冷静で情に深い愛に満ちた性欲レスなチョウ・ユンファってのは、ジョン・ウーだかツイ・ハークだかにとって、またこの映画を観て熱くなるような人間のある種の男の理想像なんやろうねぇ。
とはいっても「男達の挽歌」と比べるとラストがんともかんともなので観終わった後の爽快感なんか微塵も無いのが良いような悪いような。
しかし、自分自身はどっちかと言うと出てきてすぐボコボコに撃たれるザコに同情してしまうなぁ…

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