映画:「ピクニック at ハンギング・ロック」 / 美少女と美少女の神隠し

amazon ASIN-B0006HJ0V2正月だらだら生活の中、「ピクニック at ハンギング・ロック (1975/豪)」を観た。
この映画は「いまを生きる(1989/米)」「トゥルーマン・ショー(1998/米)」などを撮ったピーター・ウィアーがのその名を世界に知らしめる事となった最初期の作品であり、1900年に実際に起きた、女学院の学生と女学生と女教師の失踪事件をもとに映画化されたものであるらしい。
ストーリーは、1900年の聖バレンタインの日に、寄宿制女学院の女生徒と女教師が「ハンギング・ロック」と呼ばれる岩山地帯にピクニックに出かける。
生徒たちが草原で昼寝をする中、散歩に出かけた仲良しグループの3人と女教師の一人が岩山に引かれるように姿を消し、町は大騒ぎとなる。という感じである。
パッケージの写真とあらすじ紹介から期待される通りの耽美な映像を楽しみに借りてきたけど、中々期待を裏切らない映像であった。
同じような寄宿制女学校モノである「小さな悪の華」とか「ミネハハ」よりははるかに綺麗な映像であった。比べるのも何やけど…


寄宿学校で目を覚ましたブロンド少女たちが身づくろいを済ませて白いヴィクトリア調な服に着替え、連れ立って馬車に乗って「ハンギング・ロック」へピクニックに出かけるまでの映像はなんともクラクラする。
当初はこんな映像だけ見られたら十分やと思っていたけど、少女達が靴と靴下を脱ぎ捨てて何かに憑かれて引かれる様に岩山を目指すあたりの映像はなんとも不思議な雰囲気を漂わせていた。
美しい少女たちと学識の深そうな女教師が岩山で忽然と姿を消す、「神隠し」と呼ぶしかない禍々しくて荘厳な原始的で根源的な、畏怖と敬虔が入り混じったようなヌミノーゼと呼ぶのが相応しい雰囲気がとてもよく現れていたように思う。
綺麗な映像だけではなく、単なる「失踪」ではなく、違う世界に消えたとしか思えない「神隠し」と呼ぶしかないものを中々上手くあらわしていた様に思う。
今になってこのパッケージ写真を見れば「ボッティチェリの天使」と呼ばれたこの少女が、岩山の間に姿を消す雰囲気がよく表されてるなぁと感心した。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。

PAGE TOP