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2009年1月4日

映画:「アンダーグラウンド」 / 亡き王国のためのパヴァーヌ

amazon ASIN-B00005LJV6アンダーグラウンド (1995/独=仏=ハンガリー)を観た。
南スラブ人たちの統一国家であり、今は分裂によって消えてしまったユーゴスラビアを舞台にした物語で、第一章「戦争」、第二章「冷戦」、第三章「戦争」といった三部構成の、1941年の第二次世界大戦前夜から、ユーゴが決定的に分裂してしまう原因となったユーゴ内戦の始まった1991年あたりまでの話である。
パルチザンとしてドイツに抵抗していた共産党員の詩人が市民を地下活動に匿って武器を作らせ、ユーゴが第二次世界大戦を独力で独立という勝利で終えても、政府の用心になった彼は、まだ地下にいる人たちにまだ地上にドイツ軍がいると良い含めて武器を作らせて巨万の富を築く。
戦争と内戦を繰り返すユーゴの歴史に翻弄されながら人々がタフに生きてゆく様を描く。と言う感じ。
民族紛争という渋すぎる背景を持ちながらも、ミニシアター的な美的な映像と寓話的な物語で構成されている。


この内戦である「ユーゴスラビア紛争」中に撮られたこの映画は、映画全体に生きるエネルギーが満ち溢れていて、このユーゴスラビア紛争が何かしら良い風に解決すれば良いという祈りのようなものが伺えるけど、結局、紛争の末の2003年に「ユーゴスラビア」は「セルビア・モンテネグロ」となって国名自体が消滅してしまい、2006年には「セルビア・モンテネグロ」がそれぞれ独立することで完全に共和国としての形は解体してしまうことなる。南無。
地下の結婚式のシーンと最後の結婚式のシーンがなんとも素晴らしいのが、暗くなりがちなこういった映画を完全に暗いところに貶めないゆえんであろう。
それでも、侵略者であるドイツとパルチザンとして戦っていたはずが、気づけば民族同士で分裂を加速するために殺しあっている状況や、詩人だった男がいつの間にか政府の要人になり、気づけば武器商人になってその民族同士の殺し合いを煽り立てているといった状況は中々悲しいものがある。
南スラブ人の統一国家というおそらく当初は悲願であった国家体制が、同じ民族同士の対立によって跡形もなく分裂して消え去ってゆく状況の中で、ひたすら明るくタフに踊りまくり騒ぎまくる、ハイテンションな物語の裏に隠れたテーマがとても重かった。
この映画を観て「ユーゴスラビア」の歴史を調べ、紛争と分裂の末に国が消滅すると言ったなかなかに大変な歴史を知ったのだが、監督にとってはこの映画を撮ってユーゴスラビアについて知る人が増えることこそ願ったり適ったりなのだろうなと思った。

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