三島由紀夫:『三島由紀夫レター教室』/乙女のための本?

amazon ASIN-4480025774毎週木曜日は職場の近くのスーパーで古本市が開催されるので、気が向くと仕事帰りに冷やかしている。
最近は「ひきこもり」だとか「統合失調症」だとかちょっとしんどい本ばかり読んでいたので、この前に箸休めに読むつもりでホメーロス『オデュッセイアー 』と一緒に買ってきていた、三島由紀夫の『三島由紀夫レター教室』 を読んだ。
この本は、五人の登場人物がそれぞれ色々な人物に手紙を書いて、その手紙だけでストーリーが進んで行く面白い構成であった。
色々なシチュエーションで書かれる五人の登場人物の手紙、例えば「肉体的な愛の申し込み」「処女でない事を打ちあける手紙」「恋敵を中傷する手紙」「心中を誘う手紙」等などの30通の手紙でストーリーを進行させながら、同時にその手紙は文例集にもなっている。と言う事らしい。
面白おかしくさっぱり読めた上に三島テイストも入っていてとても面白かった。


昔は電話が普及して手紙がさっぱり書かれなくなったと言ったものやけど、そんな時代を通り過ぎたあと、パソコンや携帯電話の普及のお陰で日常になった電子メールが手紙文化を復活させつつあるように思う。
個人と個人をつなぐメールはコミュニケーションの形を一変させたなぁとつくづく思う。
電子メールだけで構成される小説ってのもそのうち出てくるだろう。ってもうあるのかな?
で、感想を検索していると一乗寺の恵文社で「乙女のための本」として紹介されていてちょっとびっくりした。
しかし考えれば考えるほど、三島由紀夫はなぜか乙女によく似合う気がする。そして中でもこの本を乙女のための本として選出するのは渋いなぁと恵文社に感心したのであった。

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