兵站学的に義捐金を考える/ロジスティクスは後方ではない

色々な団体がこの東日本大震災に際して義捐金を募集している。
街頭や店先で募金活動を行いながら集まった義捐金を自分のポケットに入れる詐欺が横行しているということで、
寄付はちゃんとした出所の正しい団体に正式なルートを通して行うのが基本ということになっている。
とはいえ、一見ちゃんとした団体と同じ名称を使いながらも実際はまったくの別団体のピンハネ組織であるようなこともあるからなかなか難しい。
せっかくの寄付を無駄にしないためにも、募金先はよく検討して調べてからにしたほうが良いようです。
現在一番無難な募金先といわれているのは日本赤十字社で間違いないだろう。
ここをたどっていけば銀行振り込みからカード払いはもちろん、コンビニ決済までできる。
カード持ってないって人は銀行やゆうちょ銀行から振り込みで、振り込みが面倒くさい方はコンビニ決済、それすら面倒な人はレジ脇の募金箱にINですな。
日本赤十字社への寄付は、所得税の寄付金控除の対象となるので、自分で確定申告やら青色申告している人は、節税ということで「国に税金払うくらいなら寄付するわい」と銀行振り込みかカードかコンビニ決済でポポポポ~ン!
あと、そのほかの方法としてツタヤのT-カードとかのポイントを寄付として使うことも出来るようである。ちょっとお金出すのは辛いという人もこれならお手軽に寄付できますぞ。
さらにはアマゾンで壁紙を買う形で寄付とか、ホタルイカを買えば15%が義捐金になるとか、平時は人が詐欺に使うような無駄に様々なアイデアを生み出すエネルギーが義捐金捻出に使われていて笑えますな。
しかしながらこの震災はあまりも大規模すぎていまだに被害の全貌すらつかめていない状態であるようだ。
世界各国、日本各地から集まった膨大な義捐金は2011年4月8日時点で「一時分配金の割合が決まった」段階であり、4月16日時点でも不明者が多すぎて分配に遅れが出そうな見通しである。
震災から一ヶ月たったけど、今でもこの義捐金は被災者に一円たりとも配布されていない状況である。
そして、そのあいだにも被災地の仮設住宅やそこいらで、あのカタストロフィーを生き残った人々が、衰弱から感染症から自殺まであらゆる原因で今もバタバタと死に続けている。
寄付をしたものの、まだそれが生かされていないと思うとなんとも歯がゆい。補給路を切られてしまい孤立した部隊を見守るようなもどかしさとはこんな感じであろうか?
ではどうすればいいのか?


ここでそういった大きな枠組みとしての災害に対しての義捐金という形だけで寄付をするのではなく、その下部組織として、或いは独立して活動している組織に直接用途を指定した寄付をするという手もある。
今、被災者や被災地の支援をしている団体に対する寄付を行えば、間接的ではあるけど、すぐに支援として生かされる。
大雑把な軍全体に対する支援をするのではなく、すぐに動けてすぐに反応できる分隊レベルに直接の補給を行いながら軍の補給路の充実を待つといった兵站学的な考え方ですな。
とはいっても、なんか正規軍がグダグダなのに奮闘しているゲリラ組織に資金援助しているような状態に近いような気もするけど…
例えば、魚好きな人なら、さかなクン閣下も呼びかける「がんばれ漁業 義援金募集」に、犬猫が心配なら人なら日本獣医師会の「東北関東大震災動物救護活動等支援義援金」とかいった具合に個々の人の興味やシンパシーの多様性を受け入れる様々な寄付先があるだろう。
で、一応、私のお勧めの寄付先として「国境なき医師団」(MSF)をあげておく。
有名な団体ではあるが、あまりにネット上の寄付や義捐金のまとめサイトには載っていない。彼らは震災後すぐに被災地に駆けつけて医療行為で被災者と被災地をサポートしている。
私が昔からひそかに応援していた団体で、1999年にはノーベル平和賞も受賞している。
この団体はずっと寄付を募っているけど、この東日本大震災が起こってから特別に「東日本大震災」に援助の対象を絞った寄付も募っている。
ここに寄付すれば、寄付金は薬やら包帯だけでなく、現地で戦う医師の兵糧にもなり、直接的にこの震災の被災者の命や健康を維持や向上のための戦いの前線を維持する助けになるだろう。
テレビを見てもネットを見ても全方向から押し寄せる「ガンバレ、ガンバレ」などといった声を聞いているだけで鬱になりそうであるが、
最近は、当初からの医師たちによる身体的医学的サポートだけでなく、臨床心理士による心の方面のサポートも始まったということで、なんとも心強い限りである。
「ただお金を送るだけじゃなく、とにかく被災地に行って何かしたいけど、結局行っても何も出来ないし…」って無力感を感じている方などはこちらへの募金がお勧めである。
3000円、5000円、10000円、30000円、その他、から金額を選べるので税金対策にも銀行振り込みかカード決済で一号機と三号機に負けないくらいドッカーンといきましょう。
当然こちらも寄付金控除の対象団体です。
前線に行って戦うだけが戦いではありません。兵站の一旦としての補給路と補給物資の確保は戦局をほとんど決定するまでの大きな要素であります。
今や、ロジスティクスは後方支援ではないのですぞ。
自らが稼ぎ、そして自らが使って誰かを稼がせて、継続的に定期的に寄付を行い続けるのも直接的なロジスティクスの一手段ですな。
というわけで、直接前線に補給する意味合いで、私は上の二つの「日本赤十字社」と「国境なき医師団」以外にも、現地で奮闘する自衛隊にも寄付がしたいと思って色々調べてみたのだがやっぱりダメみたいですな。そりゃ特定の企業や個人から金を貰うわけには行きませんやね。
私が寄付したお金が「LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇」の燃料の一部にでもなると思うと激しく胸熱だったのだが、残念である。
とはいえ、調べていると私と同じように自衛隊に寄付したいと思っている人が沢山いてなんかほんわかしたのであった。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。

PAGE TOP