悪代官と悪徳商人と寄付/そちも中々の投資家よのう/ロボ侍!リフト・オフ!

ニューヨークに端を発したアメリカのデモであるが、資本主義の最先端を走ってきた国での金融資本主義に対するデモであるという事実や、デモの様子を見下ろして笑いながら酒を飲む人の映像が公開されたりと、ありとあらゆる燃料と突っ込みどころが多いせいか色々な人が色々なやり方で色々なことを書いている。
その中に、金融業大手のJPモルガンがニューヨーク市警に460万ドルと1000台のパトカー、ラップトップと過去最大級の寄付をしたというニュースがあった。
それが丁度デモの参加者を700人ほど逮捕した直後だったのでやいのやいの言われていたが、
日付は「Beginning in 2010」となっているので、JPモルガンがニューヨーク市警に寄付したことは間違いないのだとしても、それはちょっとした意図と方向性を持たせようと掘り起こされたニュースであるのは間違いないだろう。
検索してみてもちゃんとしたニュースソースでの報道はないようだし。
私は以前、震災直後にどうやったら自衛隊に寄付が出来るのか調べた時に、日本では自衛隊や警察や消防といった組織は法的に寄付を受け取ってはいけないことになっているのを知ったので、ニュースの内容そのものよりも、アメリカでは企業が警察に寄付が出来るのかーとちょっとしたカルチャーショック受けた。
しかし、どうやらアメリカでは警察が寄付を受け付けるどころか積極的に個人に向けても直接電話やダイレクトメールで寄付を募るということも結構良くあるらしく更にびっくりした。
さすが寄付文化が定着しているアメリカであるが、それとは対照的に、日本は寄付ってのは余り一般的ではないような気がする。
強いて言えば、むしろ寄付よりも賄賂文化というところだろうか。逆に考えれば寄付が一般的でないから賄賂が発達したともいえるかもしれない。ってこんなことを言うと怒られそうであるが…


もし日本で国家や地方組織への寄付が合法でそれが文化にまでなっていたら、
時代劇でありがちなお約束として描かれる悪徳商人と悪代官の贈賄密談シーンは寄付密談シーンとして描写されていたのかもしれない。
例えば、
越「お代官様、お約束の黄金色の菓子にござりまする。」
代「おお越後屋、そなたもよう分かっておるのぉ。ほぉ、これはこれは眩しい。目が眩みそうじゃ。」
越「ささ、どうぞどうぞ」
代「うむ、では明朝にでも寄付金受領証明書を送って遣わす。今年の年貢はきっちりびた一文まで控除するが良いぞ。」
越「ははーっ、これはこれはありがたき幸せ。」
代「よいよい越後屋、今宵はお主とこの菓子を肴に良い酒が飲めそうじゃのう」
越「丁度わたしめも店の下で叫びよる百姓どもを肴にするのに飽きたところでございますゆえぐへへ」
代「その件についても心得ておるぞ。これだけの菓子があれば代官所も更に岡っ引を手配できようというもの。そうなれば辻の安全を保てるのが道理。さすれば、当然そちの店も打ちこわしを免れることになろうなぁ」
越「ありがたきお言葉、そうなれば、わたくしめも枕を高くして眠れますれば…」
代「うむ、うむ、みなまで言うな越後屋、これだけの菓子があれば代官所がそちの店の下で叫びよる狼藉者から700人ほどしょっ引くなど赤子の手をひねるようなもの、いざとなれば水平射撃なる奥の手もあろうて」
越「これはこれは頼もしいお言葉、欲の皮の突っ張った百姓どもにお灸をすえてやってこそ正義というものですな、ぐふぇふぇふぇ」
代「よう吼えよるのぉ越後屋、しかし、本来なら幕府に召し上げられるはずのものを代官所に寄付してしまう上、そちの店の打ちこわしを未然に防ぐ手立てにまでするとは末恐ろしい奴、お主はただの節税者ではござらぬ。よっぽどの投資家よのう、いやむしろ投機家というべきか?どうじゃ越後屋?なんぞ申してみい?」
越「これはお代官様お戯れを、お上に仕える身であられながら、財政危機と失業率増加と支持率低下なる三重苦の上、さらに乱発した赤字国債でデフォルト寸前のお上の蔵に入るはずの虎の子を、自らの懐に入れるだけでなく越後屋含めたこの業界全体に恩を売った上に、巨額の寄付の前例と既成事実をも手に入れてしまわれるとは、正に濡れ手に粟。まさか代官所が幕府に牙を剥こうとはお天道様でも想像しますまい。越後屋の本業が投資と申しましても、とてもとてもお代官様にはかないませぬ」
代「おっとそこまでじゃ越後屋、しかしこやつ中々言いおるわ。と申しても越後屋、お互い蛇の道は蛇、巷で流行りおるWin-Winというやつでござろう」
越「御意、百姓どもがLose-Loseでござりますがゆえに」
代「おっ、こりゃ一本取られたわ」
越、代「ぐふぇふぇふぇ」
声「とくと聞かせてもらったぞ!」ウィーン(モーター音)
越、代「な!何奴!!」
声「やはりお主らの企みであったか」ウィーンガシャン(モーター音とメカ音)
越、代「そ、その声は!貴様!ロボ侍!」
ロボ侍「一つ、人の世の既得権益をすすり」ウィーン!(モーター音)
ロボ侍「二つ、不埒なマネーゲーム三昧」ウィーンガシャン!(モーター音とメカ音)
ロボ侍「三つ、醜いこの世の搾取の鬼を、退治てくれよう、ロボ侍!リフト・オフ!」ウィウィーン、ガガッ!ガガッ!(モーター音とダブルタップでの射撃音)
って感じになるのですかな?
と、ま、どっちにしろ、寄付であろうが賄賂であろうが、悪徳商人と悪代官であることには変わりないようである。
しかし自分で言うのもなんだが、「ロボ侍!リフト・オフ!」というフレーズが妙に気に入った。

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