デヴィッド・リンチ 「イレイザーヘッド」(1977/米)

amazon ASIN-B00005G047デヴィッド・リンチのデビュー作というか卒業制作である「イレイザーヘッド」を観た。
女友達に呼ばれて家に行くと、子供が出来たことを告げられて結婚することになり、子供の泣き声に耐えられず実家に帰った妻の代わりに気持ちの悪い子供を世話する事になる主人公の話だった。
とは言ってもストーリーなど無いに等しい。おまけに台詞も殆ど無い。
気が触れたように笑い踊る「こぶ女」、そしてこれは作り物ではなく実際何かの生物の胎児ではないかという噂のある明らかに人間には見えない泣き叫ぶ子供、頭部から作られる消しゴム付き鉛筆、など直接的に不気味なものはもちろんとして、登場人物全ての笑顔がゾクゾクするほど気持ち悪いのがなんともたまらん。
見てるだけでこっちもおかしくなりそうな人たちしか出て来ず、生理的な嫌悪を抱かせる映像と小道具だけで構成されていて、脈略も何もあったもんじゃないひたすら生理的なところにヒットしまくる映像が次々と出てくる映画であった。
この映画を悪夢のようだという人が多いけど、確かに悪夢としか思えないかも。
しかも私は寝不足で観ただけあって破壊力抜群であった。


ひたすらスプラッターな首が飛んだり血が流れたりするだけのものはただ気持ち悪いだけやけど、この映画の気持ち悪さは美によって刺激されるツボを裏から刺激されているような変な感覚がする。
とはいってもジョルジュ・バタイユやマルキ・ド・サドなんかと違って、性的なものを殆ど介さずにその刺激が生まれているところがポイントである。
フランツ・カフカの小説の不条理で不気味な面だけを煮詰めてゆけばこんな風になるんじゃないかという感じやった。
多分このあたりの感覚がこの監督の好き嫌いになってくるのではないやろうか。
これは今まで見た中で1,2を争う気持ち悪い映画ではないだろうか?ただ気持ち悪いだけでなく引き込まれてしまう気持ち悪さであるところがたちが悪い。子供のころに見ればトラウマ間違い無しであろう。
あー変なもん見てもうたーという印象であるけど、それでも「むむ、これは…」という感じである

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