平和(ピンフ)

水を被ったごとくに頭を濡らして股から膝にかけて見事に裂けた雨合羽の間からスーツを覗かせ、初めて会うレディーの前に自転車で雨の中を颯爽と登場する漢にときめかずして何にときめくと言うのだろうか。
それに引き換え殆ど初めてちゃんと喋るレディーに対して、城への思いと図書館への思いをそれぞれにテンション高めで熱く語るおっさん二人はさぞかし暑苦しかったに違いない。久しぶりに食べるのを疎かにするくらいに喋りまくった。
出発する寸前に念を押されて、持っていくのを忘れているどころかその存在すら忘れていた事に気付き、さらに会計を済ませた後で渡すのを忘れていたの思い出した「クーポン」なる概念がトラウマになりそうである。
それでも、城が燃えず、図書館にゴキブリが侵入せず、雨合羽が裂けない限り、世界は平和である。

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