ミヒャエル・ハネケ 「71フラグメンツ」 (1994/オーストリア=独)

amazon ASIN-B000JVS598ミヒャエル・ハネケの初期作品、「感情の氷河化三部作」なるシリーズの最後にあたる「71フラグメンツ」を観た。
物語の初めに大学生による銀行強盗事件があった事が示されたのち、その二ヶ月前から事件当日に至るまでの数組の家族と数人の生活の日常がが断片的に淡々と描かれてゆく。
ホームレスの子供、娘に邪険にされる老人、子供が出来てギスギスし始めた夫婦、養子を貰う為に施設を回る夫婦、賭けパズルばかりに興じる大学生、などなど、どの登場人物もぱっとしないだけでなく、生活する事自体の苦しさとか閉塞感が妙ににじみ出ていて変なリアルさがある。
やたらと挿入されるニュース映像がとても印象的であるのやけど、こういったニュース映像を映画に組み込む事で映画自体を時間的な区切りにの中において普遍性のようなものを減じさせるのかと言えばそうでなく、逆に時代性というか歴史性なるものを感じさせるのが不思議であった。
「セブンス・コンチネント」「ベニーズ・ビデオ」と同様に行動だけをとって見ればかなり突飛で想像の範囲外にある事をする人間がこの映画にも出てくるわけやけど、その行動を映像の中で見ている限り彼の行動が理解できるし自分も何かの拍子でそういう事をしてしまいそうだ。と思わせるようなところがこの監督の怖いところだと思った。

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