ヴェルナー・ヘルツォーク 「キンスキー、我が最愛の敵」 (1999/英=独=フィンランド=米)

amazon ASIN-B00005NO7K「キンスキー、我が最愛の敵」を観た。
ヴェルナー・ヘルツォークが彼の映画にとっては欠かせない長年の盟友であり喧嘩相手でもあるクラウス・キンスキーがいかに無茶苦茶な人物かということを説明したドキュメンタリー映画であった。
全編にわたって、おかしいのは俺じゃなくてキンスキーの方だという主張が展開されている。
キンスキーが自伝の中でヘルツォークを散々に罵って批判している事実に対して、本当はキンスキーはヘルツォークの事を好きだが、お互い喧嘩している方が世間は注目するだろう。というキンスキーが言ったという言葉を紹介することで、キンスキーによるヘルツォーク批判は事実無根でキンスキーの策であるような言い方をしていたけど、結局キンスキーもヘルツォークもお互いを批判しながら批判自体をネタにする勢いで一緒に仕事をしているわけで、まぁ同じ穴のムジナというところだろうな。という感じであった。


拳銃でエキストラの先住民の指を吹き飛ばしたり、剣で切りつけて頭を割って重傷を負わせたりと、地のままで演技もしてなんでないか?というくらいの「アギーレ 神の怒り」や「フィツカラルド」のメイキングや苦労話がなかなか面白かった。
「フィツカラルド」の撮影中に、あまりに過酷な撮影を止めて帰ろうとしたキンスキーをヘルツォークが銃で脅して撮影を続行したという有名な話があるけど、それはキンスキーの嘘だとヘルツォークは主張している。
しかしよく考えれば、あのキンスキーを銃なしで脅しつけていうことを聞かせるわけであるからヘルツオークの恐ろしさは相当なものだろう。
先住民達が殺意を持って自己中心的なキンスキーを憎んでいたという話やけど、そんな先住民達ですらヘルツォークを恐れていたくらいやし、ヘルツォークって怖いんやなーというのがひしひしと伝わってくる。
この映画を観た人の感想を見ると、「確かにキンスキーはおかしい、でもヘルツォークの方がそれに輪をかけておかしい」という人がほとんどやったけど、まぁ確かにそうとしか思えないわな。
この映画を好んで見ようと思う人はほとんどがヴェルナー・ヘルツォークの映画とクラウス・キンスキーが好きな人やろうし、そういう人なら楽しめるやろうけど、そのほかの人のはふーんとしか思わないだろう。
公開当時、この映画は映画館で上映されたらしいけど、なにも映画館で見ることはないわな。という内容でもあった。
まぁそれでもDVDで見る分にはキンスキーとヘルツォークが好きな人にとっては面白いんじゃないだろうか。

1件のコメント

  • キンスキー 我が最愛の敵 / 97点 / MY BEST FIEND

    ヘルツォークが語る怪優キンスキーの真実の・・・ホラ話!?
    『 キンスキー 我が最愛の敵 / 97点 / MEIN LIEBSTER FEIND – …

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。

PAGE TOP