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2008年01月02日




●フランソワ・トリュフォー「華氏451」 (1966/英=仏)

amazon ASIN:B0000QWX86 フランソワ・トリュフォーの「華氏451」を観た。
社会の政策として本が法律で禁じられている未来の話で、過去には火事を消す役目を負っていた「fireman」はこの時代、密告やら垂れ込みやらで本の所有者を特定しては消防車で駆けつけ、マルサのように本を探し出しては火炎放射器で燃やしてしまうという役目である。
中でも勤勉で容赦無く本を狩っていた出世街道まっしぐらの「fireman」の主人公が知り合った女性から本の楽しみを教えられて…
と言う感じのストーリである。タイトルは紙が発火する温度を表わしており、「fireman」の肩に描かれている象徴としての数字でもあるらしい。

本好きとしてはなんとも堪らん社会やけど、フランソワ・トリュフォーはロボットやとか宇宙船が出てくる映画を毛嫌いしているらしいせいか、この映画は未来を描きながらも古き良き片田舎のようなまったりしてほのぼのした雰囲気が漂っている。このヌル過ぎる空気から社会の圧制を全く感じないのが笑った。

主人公が本に目覚めてからやたらと偉そうになったり、テレビばかり見ている嫁とその友達を罵倒したり、エドガー・アラン・ポーの小説を守るために上司を焼き殺したりと、本を読むと傲慢になって社会不適合街道まっしぐらな主人公がちょっとばっかりプリティーであるばかりか、見ていて胃が痛いぞ…

最後に自身が本になる話になるのやけど、ここで本好きは自分なら何になるか自然と考えてしまうのだが、私の場合は『カラマーゾフの兄弟』(米川正夫訳)に間違いないやろう。しかし『カラ兄』ではちょっと長過ぎて困るなぁ。とどううでも良い上に余計な心配をした。

この映画は本来、圧制された社会を描いてその醜さがどうしたこうした…って話になるのやろうけど、そんな事はどうでも良くって本好きの嫌な部分ばかり見えた。本好きのクレイージーさを見せ付けられて本好きにはちょっと耳と胃が痛くなる映画であった。
って変な感想。

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