稚エビ / エビも飛ばずば喰われぬものを

先日近所の川から捕獲して来たミナミヌマエビが次から次へと抱卵している。
20100924minami.jpg(クリックで拡大)
ミナミヌマエビは成長段階で一般的なエビのようにゾエアになったりする過程がなく、卵から孵るとすでに稚エビになる上に、
ヤマトヌマエビのように汽水域でないと脱皮できないとかいうことも無いので、とても繁殖させやすいエビであるらしい。
確かに気がつけばいつの間に抱卵しており、また気がつけば抱卵した卵がなくなっており、また気がつめば抱卵している。というのをかれこれ二回ほど繰り返している。
その間にも最初に生まれた稚エビが育っていたようで、
水槽をぱっと見ただけでは分からないけど、よーく見ているとても小さくいけど立派にエビの形をしている白いものが動いているのが見える。
小さいながらもツマツマツマツマと一心不乱に何ものかをついばむ様はもだえそうなほど可愛らしい。


20100924kominami.jpg(クリックで拡大)
上の写真の流木にとまっているのが稚エビで、右下に見えているのが親エビの顔である。
この親エビの全長が2センチほどであるからその小ささがお分かりいただけよう。
生まれたばかりの稚エビはやたらと小さいのでメダカにとっては一口サイズである。
稚エビはメダカが近寄ってくるとダッシュで後方に飛びのいて逃げるのだが、殆ど瞬間移動にしか見えない。
結構このエビジャンプというかエビダッシュというか危機を感じた時の回避行動は効果的なようで、
「ん?」と感じで近寄って来たメダカは稚エビが瞬間移動した瞬間に見失ってしまうようである。
大人になったミナミヌマエビは脅威を感じることなんか余りないせいかこのエビダッシュをすることは余りないのだが、稚エビは見ているとやたらと多用している。
稚エビ同士が出会いがしらに意味もなくエビダッシュすることも良く見られ、ことあるごとにピョンピョンしていて、まるで対戦ゲームで隠し技を覚えたてで使いたくてしょうがない少年のようである。
しかし、無闇に瞬間移動している稚エビが運悪くメダカの眼前に現れてしまい、反射的にパクッと食べられたのを見てびっくりした。
中途半端にエビジャンプなんかするから余計に身を危険に晒す事になるのだ。
メダカは稚エビを食べると分かっていても、目の前でみるとやはりショックが大きい。
エサなんか幾らでもやるから稚エビを食べてくれるな…とメダカに言いたいところであるが、メダカはそんなことを理解してくれまい。
しかし、それよりも何よりも、「己の技や術を過信すれば、むしろそれが弱点となって自ら墓穴を掘って自滅する」という、カンフー映画だとか少年格闘マンガの基本を、稚エビの方にこそ教えたいと思ったのであった。

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