金沢へ行く/色絵雉香炉さんと二人きりになる旅

先月、もう一ヶ月前ほどの話であるが、兼六園と21世紀美術館を目当てに金沢に行ってきた。
金沢駅を下りてすぐに「ゴーゴーカレー」の営業車を発見し、無闇にカレーが食べたくなるリビドーが湧き上がってくる。ナンバーまで55だ!

旅行中はご当地物を食べるのが鉄則である。
金沢カレーはご当地物に含まれるけど、ゴーゴーカレーは京都の三条にあるがな!我慢我慢!
なんせ1日3食なのだ。そんなに何でもかんでも食べられない。
人の食べているカレーはなぜかやたらと美味しそうに見えるが、カレーの営業車まで美味しそうに見えるとは色々末期だな!
ということで、食べたご当地物はこんな感じ。

金沢と言えば回転寿司の「もりもり寿司」。ご当地物のネタが大回転中だー


写真は能登5種盛りとホタルイカ、ノドグロの赤だし。ホタルイカが美味しくて二皿分食べた。
美味しかったー文句なしのご当地ものだー

私は旅行に行くと旅行先のスーパーやデパートの食品売り場に行くのが大好きなのだ。
ということで、ホテルの部屋に帰ってデパ地下寿司をつまみにデパ地下購入の日本酒を飲む。

デパ地下寿司はご当地物度はまぁ半分程度だが、この加賀鶴 特別純米酒『前田利家公』なる日本酒は文句なしのご当地ものだー

ご当地物というかご当地美術館の金沢21世紀美術館の併設カフェ「Fusion21」 で朝昼ご飯の予定だったが
閉まっていたので向かいにあった「いしのき迎賓館」なる建物の中のスイーツなお店で食べた。
 
 
と、このように食べ物から店から見える景色までスイーツ。
この店の名前は「PAUL BOCUSE」?って節子それご当地ものちがう!チェーン店やないかーグローバル社会のあほー!
いやしかし!食器だけはご当地物だぞー

そして金沢に来た目的の一つ兼六園。

前日に雨が降ったせいか庭園中がキノコだらけ。
 
こんな可憐なキノコ達から
 
食べればトリップしてしまうキノコまで沢山!

見ているだけで、うおおーキノコがいっぱい!とテンションが上るが、決してそんなシロシビン系キノコを食べたわけではないのだ。

先日岡山の後楽園に行ったときも思ったのだが、山だろうが植物園だろうが庭園だろうが、植物が生えている場所に行くと、ついついキノコしか探していない自分に気付く。
もちろん私はここ兼六園でもひたすらキノコを探し、景色を撮っている人たちを尻目にひたすらキノコの写真を撮りまくる。

朝一番に行ったので、公園を清掃する人たちが沢山いたのだが、その公園清掃部隊が生えてるキノコを片っ端からむしりとるのを発見して驚愕する。

こんなに可愛くも微笑ましいキノコ達を美とするのは余りにもマイノリティー過ぎるのか?庭園的視点から見れば卑しくも無節操に生えてくるキノコどもは美観を損ねるノイズでしかないのか?

民主化を求めるデモ隊に向かって水平射撃し、片っ端から逮捕してゆく治安部隊のように、容赦なくキノコをちぎっては投げちぎっては投げゴミ袋に詰め込んでゆく公園美観維持部隊を見るにつけ、
ムラムラと反骨精神やら反体制的な怒りが湧き上がってくる。

私は戦車隊の前に一人立ちはだかる市民のように、その目の前に体を投げ出して大の字に地面に寝転んで
止めろー!こんな可憐なベニタケむしるくらいなら替わりに俺のキノコをむしれー!」と叫びたくなったが、色々な意味でむしる方が嫌だろうし、それに本当にむしられたら私も困る。
あっ!キノコたちの後ろに公園美観維持部隊が!

「逃げてー!キノコ逃げてー!ベニタケ逃げてー!イグチ先生逃げてくださいー!」
いやー綺麗な庭園でしたよー

で、この金沢に来たもうひとつの目的である21世紀美術館である。

ワクワクして行ってみたら絶賛休館中でズコーだった。
美術館、博物館は大抵月曜日が休みやけど、月曜日が祝日だったので次の日の火曜が休刊日ということらしい。せっかく来たのにガッカリだよ!ガッカリだけじゃなくショボーンだよ!
京都から来ただけでこれほどしょんぼりするのに、わざわざ遠いところから来た人はどれだけ残念だろうか。
閉ざされた入場口の前で呆然と立ち尽くす我々、やたらと早口で大声で話し合っている中国人らしき人、床に座り込んでうつろな目で空や壁を見つめるヨーロッパ系らしき旅行者

まさにネットでよく見るこの画像のような感じだった。
そんな21世紀美術館の風景そのものが
「期待そして絶望、やがて放心あるい怒り 2014」とタイトルのついたインスタレーションのようだった。あほー!

が、しかし、展示場は全て閉まっていても、外から見られる無料ゾーンだけは入れるようになっていたのは気が利いてる。ガラガラなので写真撮り放題だ。
いや、写真だけ撮ってもしょうがないけどね…
 
 
 

金沢21世紀美術館がしまっていたのでプリプリしながら石川県立美術館へ移動。

金沢21世紀美術館に比べれば圧倒的に渋いと言うか地味というかそんな感じの美術館であるせいかガラガラで心地よかった。
石川県立美術館といえば17世紀に作られたと言われる国宝「色絵雉香炉」である。

17世紀と言えばヨーロッパ諸国が魔女狩りに勤しみ、トルコ軍がウィーンを包囲していた頃で、フランスの支配階級は宮廷で贅を尽くす一方、日本の大名はこんな香炉で香を炊きつつお茶を楽しんでいたと。
渋い!日本人渋すぎるぞ!
しかし、最初から美術工芸品として作られたクオリティーの高すぎる茶器などは観賞用で実際に道具として使われることなんかほとんどないように、
この「色絵雉香炉」も観賞用の香炉か?と思ったら、実際に使った痕跡があると解説に書いてあった。
国宝レベルのものを(当時は国宝ちゃうけど)実用品として使うとは 恐るべし前田家。恐らくお茶席で特別なお客さんを招いたときにでも使ったのだろう。これでもかと客をもてなす心意気を感じますがなー

この「色絵雉香炉」は重文の「色絵雌雉香炉」と共に展示室一個を使って展示される特別扱いだが、我々のほかに誰もおらず、プライベート展示室状態で国宝を独り占めだ。(正確には二人占めやけど)
色絵雉香炉さん…やっと二人きりになれましたね…」(初めてお会いしますけど)ってことで上から下からあんなところからこんなところまで心ゆくまで鑑賞だ!

この他の常設展は陶器から漆器、指物から茶道具、掛け軸から屏風といった渋すぎる美術工芸品が多く、加賀百万石な文化が心ゆくまで堪能できる美術館であった。
中でも古九谷がずらーっと並んでいる展示室は圧巻で素晴らしい。
しかし一方で金沢美大を擁するお土地柄ということもあり、西洋美術系の展示品も全くの手抜きなしである。金沢美大系のものをメインに中々のクオリティでありましたぞ。

閉まっていた21世紀美術館にはしょんぼりしていた外国人観光客が沢山いたけど、ここ「石川県立美術館」に来てクオリティの高い日本の美術工芸品を堪能すれば、こんな感じになると思うよー

そんな国宝”色絵雉香炉”さんと二人きりになれる「石川県立美術館」は基本年中無休だーすばらしいー急げー
年中無休て21世紀美術館も見習えー

京都に帰ってきてその後、どうしても金沢カレーが食べたくなって、久御山のイオンに行って「チャンピオンカレー」を食べたのだが、
同じイオンの一階に「もりもり寿司」まであってズコーであった。グローバル社会のあほー!

石川県立美術館に勝るとも劣らないガラガラ具合だと予想される「鈴木大拙館」も行きたかったのだが、時間がなく断念。次は行くぞー

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