あんこう吊るし切り/「~なう」を叫んだけもの

先日、仕事帰りに時々立ち寄るおなじみの魚屋さんで「アンコウ」が売っていた。
さばいた状態ではなく、丸ごと一匹である。
しかも無駄に安かったので迷うことなく衝動買いしてしまった。
いつも200円以内のキングサーモンやらカンパチやらマダイのアラばっかり買ってる人がいきなりアンコウを丸ごと一匹買ったので、魚屋のマダムもさぞかし驚いていただろう。
鞄にアンコウを入れてルンルンで自転車で帰宅し、早速アンコウをさばきにかかる。
アンコウは体ぶよぶよしているので、まな板の上でさばきにくく、俗に「吊るし切り」といわれる方法でさばくのはお馴染みである。
私は今まで数多くの魚をさばいてきたけど「アンコウ」を捌くのは今回が始めて。いちど「吊るし切り」ってのをやってみたかったのだ。
買ってきたアンコウはこんな感じ。全長40センチくらいでかなり小ぶりである。
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口からカレイがはみ出しているが、買って来た時点でこの状態だった。
家にあったS時フックでアンコウを台所の上にある棚にぶら下げて、吊るし切り開始~♪
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写りこんだ台所が所帯染みてるのでぼかしましたが、公開できない破廉恥なものが写りこんでるわけではありませんぞ。
以下、見ようによればただのグロ画像なので閲覧注意!ギョギョ!


初めての「吊るし切り」なので入念に下調べをする。
愛読書『日本さかなづくし 第4集』とネットでさばき方の確認。
ぶら下げた状態から、
1、ヒレを切り落とす
2、口の周りから皮をはぐ
3、鰓あたりを切り出す
4、腹を開き、臓器を取り出す
5、三枚におろす
って感じであるようだ。
まずは口周りから皮を剥いで行く途中経過はこんな感じ。
s-DSCN2948.jpg
意外に簡単にサクサク剥げりんぐ。
綺麗に一皮剥けました。
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生皮剥いだ獲物を吊るすってのはプレデター魂が騒ぎますな!シャー!
で、いきなりですが、途中写真なしで、頭と脊椎だけになった吊るし切り最終形態のアンコウくんです。
s-DSCN2958.jpg
臓器という臓器を摘出され、組織という組織を切り取られ、身という身をそぎ落とされた哀れな姿。
人間とは業深きものようのぅ。ギョギョ!
途中、苦玉と呼ばれる胆嚢を潰さぬように、珍味中の珍味である「アンキモ」たる肝臓を傷つけぬように内臓を摘出する時に、
ブラック・ジャック先生のごとく一番気を使った以外は、プレデターが一般市民を狩るぐらいに簡単だった「吊るし切り」であった。
横で私がアンコウを解体する様を見学していた母が、気持ち悪くて食べる気がなくなったと言っていたのが可笑しかった。
アンコウは骨以外は捨てるところが無いといわれて、体のすべてを食べつくせる中々お得なお魚である。
アンコウの各種臓器や組織をバラバラ状態で皿に並べてみた。
s-DSCN2968.jpg
二匹魚が写っているがこれは口に咥えられていたカレイと胃の中から出てきたキンメダイである。
左側の皿がアンコウの各種臓器や組織の中でも「皮」「トモ(ひれ)」「台身=大身(三枚おろしの両側)+柳肉(頬肉)」「えら」「ヌノ(卵巣)」「水袋(胃袋)」「肝(肝臓)」と「七つ道具」と呼ばれて珍重されるもの。
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上から時計回りに「ヌノ」「大身」「皮」「えら」「トモ」「肝」「水袋」真ん中が「柳肉」である。まだ冬じゃないせいか肝が小さいですな。
右の皿は「七つ道具」以外のもの、
s-DSCN2971.jpg
咥えられていたカレイと胃から出てきたキンメイダイ、
右側半分ほどは出汁をとるためにバラバラにした骨や口の部分。一番上は対になっていた腎臓、左側は腸管、脾臓、心臓、といったところか?
ということで、すべて軽く湯通しした後、骨の部分と昆布で出汁をとって「あんこう鍋」スタート♪
s-DSCN2984.jpg
あまりに美味しかったので、写真なんか撮ってる暇なぞ全く無かった。
「西の河豚、東の鮟鱇」と言われるだけの事あってこれは美味しい。
普通の魚なら、エラとかヒレなんか食べるものじゃないのに、「七つ道具」の一つとされるだけあって他にないような珍味であった。
この日ツイッターを始めたのだが、前から一度言ってみたくてしょうがなかった「~~なう」を始めて言った。
今更「~なう」もないのだが、記念すべき土偶の「初~なう」は
「あんこうを吊るし切りなう。」
なのであった。

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