奇想天外! 浮世絵師 歌川国芳の世界@京都伊勢丹/pop! rock! kawaii!!
「すでに終わってしまった展覧会の感想を書くシリーズ」、今回はあと一週間ほどで終わってしまう、JR京都伊勢丹の「美術館 えき」で開催されている「奇想天外! 浮世絵師 歌川国芳の世界」についてだーっ!
この展覧会は歌川国芳の美人画、風景画、武者絵、動物絵、肉筆画による掛け軸など、あらゆるジャンルの作品を集めたものである。
浮世絵が江戸で流行っていた当時は世界的に市民階級が力を伸ばしていた時代であり、「芸術」は貴族や王などの権力に仕えるものではなく、力を持ち始めた市民階級のものとなりつつあったわけであるけど、当時のユーゲント・シュティールやアール・ヌーヴォと同じように浮世絵も当時の時代の最先端であり、国家権力ではなく町人に多大な人気を得ていた。
そういう意味で浮世絵は今で言えば「権力に仕える芸術」ではなく「市民に愛されるアート」であり、流行の最先端で消費され続ける「ポップ」なものであった。
そんな浮世絵は贅沢を禁じた天保の改革によって弾圧され、贅沢品とみなされたり風紀を乱す恐れがあるとされたものはことごとく規制された。
春画はもちろんの事、娯楽性が高いと言う名目で歌舞伎や寄席が禁止された影響で美人画や役者絵まで禁止されたが、当時の絵師たちは様々な方法でその規制をかいくぐり作品を発表し続けた。
歌川国芳は浮世絵師の中でも、様々なジャンルの絵を描いた人であるけど、美人画を書き続けた喜多川歌麿などは、「判じ絵」 などの禁制の新しい回避手法を考えるたびにそれを潰され、結局「手鎖50日」に処されて気勢を削がれるが、歌川国芳は何度も奉行所に呼び出されて厳重注意されたり始末書を書かされたり罰金刑になったりするにも関わらず、法をかいくぐって絵を描くだけでなく、そんな体制そのものをもその作品の中で批判したり揶揄したりして笑い飛ばす。
そういう意味で歌川国芳はポップであるだけでなくとてもロックな人物でもあったわけだ。
この二つの絵は一見全く全然関係のない順法的なものに見せかけながら、黒船におびえるだけで何も出来ない幕府を揶揄したり(左)、天保の改革などの悪政を批判したりする(右)ものだとされているが、そんなん言われんとわからんわー
余りにも時代の最先端を行き過ぎた「過激」な表現が時の国家権力によって敵視されたり弾圧されたりするのは昔も今も同じである。
わいせつと断じられた『チャタレイ夫人の恋人』から「ろくでなしこ」まで、権力を否定すると断じられた「ジョージ・オーウェル」や退廃芸術だと認定された「エーリッヒ・ケストナー」まで、時の権力に否定されてしまったアートは逆に「誉め殺し」ならぬ「貶し誉め」として「国家権力に反体制だとお墨付きを頂いたアート」としてますます価値がアップするのだ。
同じように歌川国芳も上のような絵を発表し続けることでその人気はますます高まっていたようである。
また、何らかの規制をかいくぐる為に考えられた手法が逆に別の魅力を獲得して1つの表現形式と定着してしまうこともよくある。
エロ方向でのこの手法の創意工夫は本当に涙ぐましい。もう涙ぐましい域を脱して感動的ですらある。
例えば…
いやいややっぱり書かないでおこう。
歌川国芳のこの二つの絵「レイク」的なものと「オヤジギャグ百連発」的なものは、文字そのものを書かずに文字を表現する「判じ絵」 の手法の発展形といえるであろうし、
この擬人化された金魚や猫などは、直接役者や遊女を描く事のできなかった時代に動物として描く事で生み出された方法でもある。
この猫と金魚の可愛らしさはたまりませんな!
しかし、何といっても歌川国芳のエッセンスはこういった劇画ちっくに濃ゆいこんな感じの絵の中にあるように思う。
この「進撃の巨骨」に「赤穂浪士の奇妙な冒険」の卓越したデッサン力を見よ!どうよ?
そのデッサン力の凄さは展示後半にあった掛け軸などの肉筆画で存分に味わえるぞ。
浮世絵を見ているとマンガやらアニメやら現代の日本文化のあらゆる可能性が見えるような気がするけど、浮世絵全体の持つ「POP」さだけでなく、歌川国芳独特の先に紹介した金魚や猫の絵のような「KAWAII」、さらには体制に反発する「ROCK」も味わえる、
「KAWAII」モノを見てニヤニヤしつつ、権力を否定したい「ROCK」な人なんかにお勧めのこの展覧会は2014年11月24日までだ~
盗んだバイクで走り出さずに、公共の交通機関をご利用して急げ~
よかったです。
お近くに巡回してきたときにはぜひどうぞ~
涙ぐましい・・・例えば、の具体例は…
やっぱり止めときます(-_-;)
いいですね~。国芳。
いろいろな展示の中に国芳の絵もあるというのは、
何度かあるのですが、国芳展とまとめてだと、
さらに楽しそうです。
「KAWAII」&「ROCK」最強ですね!
涙ぐましい・・・例えば、の後が読みたかったです。(笑)