育ててはいけない生物

先日琵琶湖に行った時にあまり見たことのない浮き草を見つけたので持って帰った。

姿からするにシダ植物の「アカウキクサ」の類だろうと思い色々調べると、どうやら「アカウキクサ」によく似た「オオアカウキクサ」と遺伝的にほとんど変わらない外来種「アゾラ・クリスタータ」なるものが繁殖しており、さらにその「アゾラ・クリスタータ」は在来種のオオアカウキクサと簡単に交雑してしまう上に繁殖力も異様に強いことから「特定外来生物」に指定されていることをはじめて知った。

「特定外来生物」に指定された生物は「飼育、栽培、保管及び運搬、野外へ放つ、植える及びまくこと」が法律で禁じられており、懲役や罰金といった罰則規定まであるのだ。

結局私が見つけたものは環境省の同定マニュアルによれば、根に根毛がないところから完全にアゾラ・クリスタータの特徴を備えてはいないのでアゾラ・クリスタータではないオオアカウキクサの一種だとみなすことができるけど、それでもおそらく純粋なオオアカウキクサではない雑種であるような気がする。

「外来生物法」によればなにかしらの「特定外来生物」を家に持って帰った時点で違法行為が成立することになるけど、知らずに持って帰っただけで逮捕されたとか言う話も聞いたことがないので、家に持って帰って「特定外来生物」だということが判明した時点で処分すればいいのだろう。

心情的に殺すくらいなら捕獲地点に帰したくなるけど、それはさらに「運搬」と「野外へ放つ」を行うことになり違法の上塗りになってしまうので自らの手で死滅させる以外の選択肢はないのだ。

大人の場合はこういった行為に対して、生物多様性だとか、農林水産業保護だとか色々な理由でそれなりに理由をつけることができる。

でも、たとえば、子供なんかが特定外来生物としてメジャーな「カダヤシ」なんかをメダカと間違えて捕まえて持って帰ってきた場合、本来は法的に言えば、捕まえて持って帰ってきた時点でダメで、飼うのもいけない、かといって元いた場所に帰すのもいけない、直ぐに殺す以外の選択肢はないわけである。

その事を、子供に理解できるようにちゃんと説明するのはとてつもなく難しいように思う。

しかし、考えようによれば、むしろこれは子供にとって、ここで生きることが許される命と、ここでは生きることが許されない命が、人間の都合によって理不尽に分けられることが正義として存在するということを通して、リアルで業の深い人間の世界を学ぶチャンスなのかもしれないですな。

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