東谷暁『経済学者の栄光と敗北』/人間的な、あまりに人間的な

最近今までまったく読まなかった経済学関連の本を読むようになった。ってことを以前書いたような気がするけど、どれもコレも理論ばかり書いてある本だと面白くもなんともない。

amazon ASIN-402273499Xで、最近読み出した、東谷暁『経済学者の栄光と敗北』は、ケインズ以降の主要な経済学者を性格から生い立ちから性的嗜好といったところまでも絡めて、彼ら本人の問題意識と彼らの主張した考え方の解説がなされていていてとても読みやすい上に純粋な読み物として面白い。

たとえば、苦学生だったけど常に陽気で積極的だったミルトン・フリードマンが今のアメリカの主流である「新自由主義」を提唱したというのは分かりやすいけど、当時のイギリス経済を復活させ、現在の日本のでもなんちゃらミクスとして適用されているジョン・メイナード・ケインズの「ケインズ経済学」が彼がバイセクシャルだったのという彼自身の抱いていたアウトサイダー性が反映されているという切り口はとても面白い。

私は常々、その人の恋愛というのはその人の思想にかなり大きなウェイトで影響を与えるものだと信じて疑わないので、とても個人的な「人間臭い」部分からその人のパブリックな思想と問題意識を考える方向性が大好きなのだ。

人間的な、あまりに人間的な方向性から何かしらの思想を貫いた人とその問題意識と生き様を見るのは、自分と考え方や感じ方が同じであろうがなかろうが心温まるのであった。

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