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2009年6月28日

買って来た生肉を食べるといふこと /臓器商人マダム・モツとの対話

モツといえば今までお店でモツ鍋やらホルモン焼として食べるばかりであったが、初めてモツ専門店で生で売っているモツを買って来て調理して食べた。
店先のショーウィンドウのアルミのバットに各種臓器がでーんと並んでいるのはなかなかすごい光景である。こう見ると臓器というのがありとあらゆる色と形状をしていており、その多様さはそれら臓器が担っている様々な機能やシステムの多様さでもあるのだろうと想像できる。そして、その臓器の多様な恒常システムのお陰でわれわれが生きていられるのをしみじみ感じる。ような気がする。
そしてお客さんが来るたびに巨大な臓器が塊から切り出されて売り飛ばされてゆくのはちょっとしたカルチャーショックというくらいのインパクトである。
私が物珍しげに売られている臓器や肉塊をルンルンで眺めていると、お店の人が話しかけてくれていろいろと説明してもらい、臓器と内臓と生命の神秘について、お店で臓器を商っている「マダム・モツ」と小一時間語り合ったのであった。


とりあえずいろいろなモツがセットになっている「モツ詰め合わせ」的なものと、なんとなく気に入った「ハチノス」を買ったのだが、100グラム50円なるやたらと安い単価で目を引いた「チレ」なるモツについて質問してみると、どうやらそれは牛の脾臓らしく、レバーと同じように料理すればいいらしい。
お店のマダム・モツが言うには「私らは生のままユッケのようにして食べているけど、新鮮ではあるが生食用として売ってはいないので、生で食べられますとは言えない。」ということで、要するに生で食べるなら自己責任で。ということであるらしい。
店先で買って来た生肉を食べるという行為に激しく心を動かされ、まぁ安いしとりあえず、ということでそれも買ってきた。
焼いて食べるなら薄皮一枚を剥がして、生で食べる時はその下の厚い皮も剥がしてと教えてくれたので、魚の皮をひく要領で皮をめくって3x1センチ位の短冊に切って、ごま油と塩とラー油を少したらして食べてみると、これは美味しい。かなり美味しい。
とりあえず適当な量のチレと刻んだネギ生姜も加えて食べた。
あるだけ全部食べたかったけど、大量に食べるとお腹壊しそうだったのでほどほどにしておいたが、ちょっとした肉食獣の気分であった。
小皿に一盛り食べてまったくお腹を壊さなかったので、もっと食べればよかったとも思う。
残りのチレは、レバーと同じだというので、皮を全て剥いだものと、薄皮一枚だけを剥いだものをフライパンで塩コショウと生姜で炒めて蒸し焼きにしてみた。
確かに味はレバーであるが、薄皮一枚だけ剥いだものは表面の皮の感触がグニグニしていて不思議な食感であった。焼くならもっと臭みを取るような味付けのほうがよさそうである。
で、メインのモツ鍋を以下のように作ってみた。
1、「モツセット」と「ハチノス」は小さく切って丁寧に水洗いし、さっと茹でた後に、もう一度水を替えて茹でて下茹でとした。
2、鍋にお湯を沸かしてモツとネギと土生姜を投入して煮込んだ後、お店でもらった焼肉のたれ状のものと味噌を入れて味を付ける。
3、キャベツやらネギやら野菜を山盛り投入し、蓋をしてグツグツ…
4、野菜がヘナヘナになったら食べる。
5、具がなくなったら残りのだしに中華そばなどを入れてグツグツ…
・ネットで持つ鍋の作り方を調べていて、モツの下ごしらえと料理は臭みを如何に抜くかというのがコンセプトであるようなことが書いてあり、どれだけくさいのかと思っていたけど、大して臭くなかった。これならもう少し下茹でを短くし、モツ自体からもっとだしをとっても良かった。
・だしとして焼肉のたれと味噌を入れて味を見た時に、たれの味しかせずにちょっとした「やっちゃった感」を感じて失敗したような気がしたけど、野菜から出る甘みで後から美味しくなった。
ただ出てくるのを食べるのと、自分で調理して下ごしらえすると料理の印象はまったく違うのでは当たり前であるけど、ただの薄っぺらい膜や管状組織や立体構造をもつ器官の断片でしかない生のモツを洗ったり切ったりする為に見て触っていると、これも食べ物なのか…とかなりのカルチャーショックを受けた。
海で魚やら頭足類を捕獲した際に下ごしらえの段階で海に捨てていた内臓も、ちゃんと洗ってちゃんと調理すれば立派に食べられるやん。という確信を得た。
なんというか、店先で買ってきた動物の内臓を調理するだけでなく、生のまま食べるという行為を問題なく実行したことによって、自らの野性性やサバイバル能力を一つ上の段階に押し上げたような気がするのであった。

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