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2011年6月9日

被爆量は可視化できるか?/絶対領域放射線チラリズム

先日、近藤宗平の『人は放射線になぜ弱いか -少しの放射線は心配無用- 第三版 』を読んでいて、放射線を測定するのに一般的に使われるガイガーカウンター以外に「蛍光ガラス線量計(リン酸ガラス線量計)」なるものがあるのを知った。(本の感想についてはまた明日にでも。)
その蛍光ガラス線量計というのはある種の特殊なガラスが入ったごく小さいケースで、それを携帯したりどこかに置いておき、その測定器のガラスに特定の波長の光を当てることで、そのガラスの放射線が衝突した部分が発光し、その測定器が受けたトータルの放射線量が算出できるというものであるらしい。
動力もなにもいらず、小さい線量計一つである時点からの累計被曝量を知ることが出来るのは大変お手軽である。
しかも一年に1%未満の情報損失しかない精度の高い測定が出来るらしい。
これは一般的には放射線技術者や環境測定のためのものであるが、
もし個人でもこういった線量計をずっと肌身離さず間持っていれば、その間に受けた放射線量の総量を知ることが出来るということになる。
放射線は見えないから怖いという部分がとても多いけど、このガラス線量計を身につけたり、いつもいる場所に置いておけば、自分の被曝量を可視化しることができるし、
自分が浴びた放射線の総量を明確に把握して管理できるというわけですな。


例えば、こんなところが会社として線量のモニタリングサービスを実施している。
ページをじっくり読んでいると、申し込むと線量計が送られてきて、本来の一般的な放射線技術者の利用なら作業時に特定の部位にモニタを装着し、環境測定用ならずっと測定する場所においておき、定期的に会社に送って測定結果の報告書を貰うというシステムであるようだ。
気になるお値段はX、β、γの放射線を測定できるもので2万円程度、それに中性子線が測定出来るものをプラスすると4万円程度で一人一年分の測定と報告を受けられる。
さらに、個人線量は四半期ごとに集計結果を報告してもらえるようで、これはなかなかいい感じである。
しかもガラスバッチ型だけじゃなくって、指輪型まである。 X線とγ線が測定できる指輪ってちょっとイタくて微オサレなプレゼントにも最適だ。
とはいえ、これでも一番恐ろしいとされるプルトニウム238を肺に吸い込んで内部被曝する場合のα線などは測定できない。まぁ何のための測定器かを考えれば当たり前ですかな。
少なくとも原子力発電所が三基同時にメルトダウンして圧力容器が破損することで、自然界に放出された放射性物質による内部被曝量を測定する必要性が出てこようとは誰も考えていなかったわけやしね…
それでも、このガラス線量計一つで外部被曝に関しては完璧に把握できることになるのは素晴らしいではないか。
ページを熟読したり写真を見ているとなんだか無駄にワクワクして無闇に欲しくなってくる。
いろいろなものを数値化することで何かが分かったような気になるタイプの人、計器マニヤや測定フェチなら迷うことなく購入に踏み切るだろう。
かく言う私も思わず手が滑って「申込書郵送依頼」をちょっとだけポチってしまったが、まったくの一般人は申し込むことが出来ないようで助かったような残念なような…
確かに私のように興味本位で申し込んでくるやつや、思いつめて切羽詰って涙目で半泣きになりながら申し込んでくるやつが大量に来たら迷惑で鬱陶しいやろうなぁ…
今、科学は目に見えない危険と脅威と恐怖を生み出すものとしての側面がクローズアップされているけど、目に見えないものを見えるようにするのもまた科学の側面である。
目に見えないものを可視化するという試みは本来的に知的な根源的な科学的衝動であり、これはもうなんとも心躍るものである。
そう考えると、「見えないものが見えるかも」っていう部分でせめぎあう、「絶対領域」やとか「チラリズム」を至上の価値と捉える傾向も、科学的で知的で人間を人間たらしめる本来的な衝動に基づく、健全で建設的な欲求であるということは明らかですな。
うん、きっとそうだよ。パトラッシュ…

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