サヨリ…
朝早く、というよりも殆ど夜中、古くからの友人と海釣りに行った。
友人と二人並んで釣りに精を出す中、ふと横を見ると、友人は何か赤くて細長いものを口に咥えて手で引っ張ってニヤニヤしていた。
はっきり言ってとても驚いた。一瞬何が起こっているのか分らなかった。何か見てはいけないものを見たような気がした。
どう見てもイソメだかゴカイだかをエサにするために適当な長さに食いちぎっているように見えたのだ。
その友人はフナムシがサンダルに上っただけで情けない声を出して飛び上がるタイプなので、口で環形動物を食いちぎる姿を見て、本気で寝不足で頭がおかしくなったのだと思った。
「○○!なにしてんねん!!」って逃げる体制をとりながら声をかけると、「これなかなか美味しいわ」と答えて更に恐怖が増す。思わず本気で一歩後ろに下がりそうになった。
「美味しい??!!」と本気で怖くなって聞き返すと、「塩辛。いる?」と答えが返ってきた。塩辛??
どうやら友人はパックの塩辛を買ってきて、それをエサにするために適当な大きさに食いちぎっていて、意外に美味しい事に気付いたらしい。
友人の頭が正常である事にほっとしつつ。安堵の笑みを浮かべながら私もその塩辛をもらい、小さく食いちぎるために咥えると確かに意外に美味しい。
「たしかに美味しいわ(w」といいながら二人で塩辛を食べながら食いちぎっていたのだが、
何か赤くてヌルヌルしたひも状のものを咥えてて「美味しい美味しい」とニヤニヤするオッサン二人ははたから見れば本気で怖いだろう。
オキアミを買ったので殆ど作業のようにアジとサヨリを釣っていた。
オキアミで群れを寄せて、食わせエサの塩辛でピンポイントにサヨリを狙う。
買ったオキアミを全て使い果たすまで延々と釣っていた。
写真は本腰をすえて釣り始めて少したったくらいのクーラーボックスの中身、最終的にはこれの4倍くらい釣れたんじゃないだろうか?大漁!大漁!
私はサヨリを釣った事が殆ど無いので、釣れるびにその美しい色と形に惚れ惚れと見入っていた。
キラキラする鱗も、スマートな体も、どういう利点があるのか良く分らない長い下あごも全て美しい。
サヨリかわいいよサヨリ。
腹いっぱいオキアミを食べたサヨリとアジは今日中に捌いておかなければ、明日になれば痛んでしまうだろう。
この美しい大量のサヨリタンを腐らすわけにはいかない。
アジは小さいのでゼイゴだけを包丁で切り取って、後は料理バサミで頭切り落とし、腹を切って内臓を出すだけなのでまだ良いが、
サヨリは、尻鰭を抜いて、頭を落とし、腹を裂いて、内臓を出し、脊椎から肋骨を切り離し、脊椎だけを切り取る、といういくらか工程の多い作業を小出刃でする必要がある。
しかもサヨリを重点的に釣ったのでやたらと数が多い。
やたらと量の多い食べても食べても減ったように見えないラーメンのように、捌いても捌いてもサヨリは数が減らないように見える。
寝不足と疲労の中で家に帰って、大量のサヨリを一匹ずつ捌いて過労で倒れそうだった。
あれだけ美しく見えたサヨリも最期の数匹を捌くころにはもう見たくもなくなってきた。
サヨリもういいよサヨリ。