「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」展/無駄にドラマチックで無駄に暗くてそして無駄に圧倒的な/そしてクリムトへ

先日、京都の伊勢丹で開催されていた「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」展に行って来た。
3月27日に終了しておりリンクも次の展覧会のものに代わっているので、京都の前に開催されていた横須賀美術館のものを張っておく。
ラファエル前派とは19世紀半ばから末にかけてイギリスで起こった芸術家集団のムーブメントであるらしい。
とはいえラファエルって14から16世紀イタリアルネッサンスのラファエロの事?前派ってそれより前の事?でも19世紀の活動やないの?なぜに???
と思ったのだが、どうやら当時の19世紀半ばの古典偏重主義の画壇を革新するべく、ルネサンス時代のラファエロ以前の芸術を最も素晴らしいものとしてを規範にしようと言うことで徒党を組んだ思想的芸術家集団であるらしい。
「ラファエル前派」とは、ラファエロ以前に活動していた人たちではなく、
ルネサンスの完成であるラファエロ以前を模範とする派ということで「ラファエル前派」と名づけられているらしい。つーか名前の付け方ややこしすぎるわ!
まぁつまりは19世紀半ばにルネサンス以前にルネサンスしよう会ということである。
ルネサンス以前を模範とすると言うことで、必然的に中世の伝説や文学、聖書物語を題材にすることが多くなるけど、構図は伝統に縛られず自由であったということらしく、
例えば、この絵、Edward Burne-Jonesの「St George」である。
St-George-Burne-JonesL.jpg
カトリックの聖人伝に題材を取り、ルネサンス的無駄にドラマチックでありながら、ルネサンス以前のフランドル派のように妙に暗く、それでいて全く相手を寄せ付けずにマウントポジションで竜を虐待する圧倒的優位の聖ゲオルギオスの絵は、産業革命的19世紀的ラファエル前派ぽいっという感じだろうか。


ルネサンスの時代の宗教音楽は私の大好きな好きなジャンルでダイレクトに私の琴線を刺激するのだが、この
Edward Burne-Jones のチョーサーの『善女列伝』から題を取った4枚のタイル画のうちの「 Philomela」と「Thisbe」は色あせつつも純粋で素朴な感じがとてもルネサンス的に私の琴線を直撃であった。
Philomela_BJ.jpg
「Philomela」はネット上でみつけられたが、「Thisbe」はどこにもなかった。
「Philomela」に良く似つつもちょっとキリッとした女性が剣を下に向けて構えている絵であった。ぜひもう一度見てみたい。
展覧会の一番最後にJohn William Waterhouseの「Mariana in the South」なる作品があったのだが、とても綺麗で惚れ惚れした上に、かつ圧倒的に大きい絵で迫力をもって迫ってくるものがありなんともたまらんかった。
John_William_Waterhouse_mariana.jpg
ラスキンの思想を基にした思想化集団や秘密結社的な存在だったラファエル前派が、工芸デザイナー的なウィリアム・モリスと組んで、純粋美術だけではなくタイルやら壁画やらタペストリーや食器や椅子などの応用美術に展開されて結実してゆくのだが、その流れが私の好きなアール・ヌーボーやクリムトを擁するウィーン分離派へと確実に受け継がれていったのだと思うとなんとも胸が熱くなるのであった。

4件のコメント

  • 確かに美術館の雰囲気は大事ですねぇ。
    あとそれから絵の「デカさ」もかなり大事なんだと思いますです。
    同じ絵でも画集で見るのと実物の大きさで見るのでは全然違いますしねぇ。

  • 生オフェーリア、よいです。どんな絵でも、実物はやはり違いますよね。美術館の雰囲気なんかもありますし。。。

  • おお!行かれましたか。
    「南のマリアナ」は最後のボスのようであまりの圧倒的さにおーっと立ち尽くしてしまいましたな。
    仰るように「耳」を意識してこの絵を見ると…めっちゃ気になってきましたww
    ミレーの「オフィーリア」良いですよねぇ。
    ミレーも区分で言えばラファエル前派ですが、流石にこの展覧会には来てなくて残念でした。
    これもいつか生で見てみたいです。

  • わたしもこの展覧会見に行きました。モリスもよかったのですが、やはり最後の「南のマリアナ」の絵が一番印象的でした。絶望感あふれる絵なのにじっと見ていたくなります。鏡と耳が気になります。このポストカードがほしかったのですが売ってなくて残念。。。と思っていたら、ミレーのオフィーリアの3Dカードがあったのでご機嫌になって買って帰りました。

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