文化博物館「八重の桜展」はダークツーリズムではない

先日、文化博物館の「2013年NHK大河ドラマ 特別展 八重の桜」に行ったのだが、その時にずっと感じていた違和感が何だったのか、東浩紀編『チェルノブイリダークツーリズムガイド』読み始めて分かったような気がする。

展示そのものは

本展は、NHK大河ドラマ「八重の桜」と連動して、同時代の資料や新島八重ゆかりの品々を紹介します。戊辰戦争の敗戦から立ち上がる人々の姿を通して、復興へのメッセージを伝える展覧会です。

というテーマなのだが、なんとなく知っていた会津藩の悲惨さや無念さに比べ、この展覧会に描かれる会津藩や山本八重があまりにもポジティプで前向きににとらえられ過ぎのような気がした。

何かしらの悲劇に関して、ネガティブな面を完全に封印してポジティブな側面だけを表に出して解説してみせるということは、同じような悲劇に遭った人の心の奥底にあるネガティブなものは封印されるべきだ。というメッセージにもなりうる。と私は思う。

私は「八重の桜展」で戊辰戦争後を生き抜いた会津藩関係者の心の底の方にあるはずの、ネガティブかポジティブかすら分からないような激しい情念のようなものが見たかったのだ。

そしてそれは、一歩間違えば不謹慎と捉えられる可能性もあるかもしれない「ダークツーリズム」なるジャンルとして成立していることを知ってちょっとしたカルチャーショックを受けたのであった。

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