自転車で転ぶ/ズコーで始まる嬉し恥ずかしアドレナリン

出勤時に雪がうっすら積もった道路を横断しようとして二つの中央分離帯の間で車体を傾けた瞬間に前輪が滑って横倒しになり、そのまま腹ばいで両手を伸ばしたままピッチャーゴロで一塁に突撃する高校球児のようにスライディングした。

リアルにズコーとなってズサーとなり、雪まみれになりながらそそくさと立ち上がって自転車を引きずって歩道に移動し、何も無かったかのようなふりをしながらしばらく落ち着くまで待って、体中をチェックして、服もカバンもどこも破れておらず、路面で打った肘が少し痛いくらいで特に大した怪我はないのを確認してまた自転車に乗った。

それでも職場で働き始めると机についた肘がさっきよりも痛くなっている事に気付き、なんらかの肉体的脅威に陥った時はアドレナリンが分泌されて怪我をしてももあまり痛く感じないという動物としての機能が自分にも動いているのを感じてなんだか久しぶりに新鮮だった。

これは、動物にとってはとにかく目下の差し迫った留まっていては危険な状態から一刻も早く逃げ出すための機能なので、私の内なるダイモンは私の身を守るためにアドレナリンを分泌してくれたことを感じてそこはかとなく嬉しかったのだ。

しかしながら一人で勝手にズコーっとすっころんだうえにズサーっとなった人間にとって、一番の脅威は「恥ずかしさ」である。私はその大事なアドレナリンを危険地帯を脱するためというよりは自分自身の恥ずかしさをごまかすために使ってしまったような気がする。

恥ずかしさを感じるのは人間だけではなく動物にも恥の感情があるという説もあるというので、池の石に上り損ねてごろんと転がり落ちて、テヘペロしているスッポンとかもありえるわけだと思いながら、なぜか頭の中にずっと「ズコーで始まる嬉し恥ずかしアドレナリン」という謎のキャッチフレーズが延々と繰り返されていた雪の日の朝だった。

うーん、頭は打ってないねんけどなぁ…

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