サーブ9-3のランプコントロールユニットを修理した

私が最近中古で買った車はサーブ 9-3の最初期モデルであるが、いつのころからかハイビームに切り替えるとインフォメーションディスプレイにピンポ~ンという力が抜けるような音と共に「FRONT LIGHT FAILURE」というメッセージが出るようになった。
コンビニで前向き駐車する時にガラスに反射させてみると左ハイビームが消えている。
どうせ玉切れでバルブの故障だろうということで解体屋でボルボから摘出して来たPHILIPSのバルブと交換してみたがやっぱり点灯せず直っていない。ガーン…
amazon ASIN-1844256146この車の購入を機に、自力でいじり倒すため『HAINS SERVICE & REPAIR MANUALS』 を買っていたのが役に立った。
ちなみにヘインズのマニュアルはアマゾンが一番安かった。
流石にというか、やっぱりというか、マイナー車なので日本語版が無い。まぁジェイムズ・ジョイスでなく技術書を読むだけなので英語でもまだ何とかなるはずと言う事で買った。本国のスウェーデン語のマニュアルしかないよりはよっぽどましである。
で、こいつで回路図を見ながら故障箇所を探すのだが、まぁコレぐらいなら英語でも何とか。


headlight.jpgで、回路をたどりながら不具合の場所を探しているうちに、ハイビームに切り替える時は、回路図で言うところの28番のハイビーム用リレーが動いている音がするのに、番号3の一番下の左ハイビームのヒューズに既に電気が来ていないことに気づく。ヒューズの代わりにテスタの棒を指して測っても電圧はOVである。ということは回路図ではこの間にあることになっている番号で言う29の「filament monitor」なるものが怪しい。どうやらこいつはSIDにどの電気が点いていてどの電気が点いてないかを教える機能があるようだ。このおかげでピンポ~ンと警告表示していたわけですな。
しかしそのfilament monitorなるものが実際どこにあるのかよくわからない。結線上どう考えてもエンジンルームのバッテリー奥にあるリレーとヒューズが収まっている箱の内の「LAMPCONTROL」と書いてあるいかにもリレー然としたオレンジ色の部品であるとしか思えない。むむむ…
ネット上で調べてみるとどうやらこの「ランプコントロール」のハンダ割れで同じような症状になっている人が結構いるようだ。これに違いない。ということで早速分解開始。
SAABLAMPCONTROL00.jpg精密ドライバーのマイナスを二本突っ込んで爪を浮かした状態でカバーを外す。ガワはリレーっぽいけど、中身は明らかに機械式リレーじゃなく、シンプルな電子回路である。
二つ並ぶ「U479B」なるICかオペアンプ然とした謎の石がどうやらこの回路のメインユニットらしく、ネットで調べてみたところ自動車灯の供給停止監視ICのようだ。こんな専用ICがあるねんなぁとちょっと感心、あとの部品は抵抗とダイオードとICへの電源供給用の3端子電圧レギュレータというところか。しかしなんか頑丈そうなつくりとハンダ付けやなぁ。このサーブは電装系部品の殆どが日本製であるけど、このユニットだけはドイツ製のようである。
で、ルーペでいくら見てもネット上でよくあったようなコネクタと基盤を繋ぐ部分のハンダ割れは見つからない。SAABLAMPCONTROL01.jpgしかし基板上に半田がカルデラ状になって、中空になった半田の中で浮いているように見えるリードを発見、ここにハンダを盛りなおしたところ左ハイビーム復活。おまけにこの左ハイビームのラインと並列に接続されていたインパネのランプも復活。結局このユニットの回路のハンダ不良であったようである。
写真は既に修理済みであるが、赤丸部分のあたりの半田がカルデラになっていたような気がする。
確かにこの部品は走っている最中には触れないくらいに熱くなっている。そりゃ長年つかってればハンダとの接点も溶けてくるだろう。ついでにすべての半田をオーディオ用の銀半田まで振舞って盛りなおしておいた。これでしばらくは大丈夫に違いない。
しかし、ある特定のひとつの部品に対して、ヘインズのマニュアルには「filament monitor」、実車のパーツ上では「LAMPCONTROL」と名前がついているのだがわかりにくてしょうがない。コントロールとモニタではえらい違いやん…
結局、私は車を触ってもやっぱり電気系統やね…

4件のコメント

  • どもどもはじめまして!
    すっかりお返事遅くなりまして申し訳ございません。

    ハイビーム復活との事よかったです!
    フォグランプの件ですが、私のはフロントフォグは点きますが、バックフォグはスイッチを入れてもスイッチのランプすら点かずどうも回路自体がつながっていない様ですねぇ。
    バックフォグは使うことも無いだろうとそのままにしてありますが…お役に立てませんですいませんです…

  • 土偶さん はじめまして!
    最高です!!
    ボクも、この記事のおかげで、ハイビームがなおりました。
    フランスに住んでいて、この手の情報が全くないし
    フランスはこういう不具合をほったらかすので
    本当にたすかりました。
    今度は、フォグランプの不具合が目下の悩みです。
    買った時には、スイッチはついていましたが
    フォグランプがついていなかったので
    ebayで買って取り付けましたが、点灯セズ・・・。
    配線を切ってあるのか、はたまた他の原因か・・・。
    調べる方法はググるしかないので
    何か考えられる原因があれば、アドバイスお願いします。。。
    本当にありがとうございます!

  • Yujiさんはじめまして。
    いや~お役に立てて、喜んでいただけましたようで幸いです。
    サーブ君(ちゃん?)もまたちゃんとライトがつくようになって良かったですねぇ。
    このユニットはすごい熱を持つので、表からは分らなくても接触が悪くなる事はありそうですね。
    周りに同じ車に乗っている人が皆無なので、お越しいただいてまたお役に立てて何とも嬉しい限りです。
    古い車ですが、お互い同じ車に愛着を持つもの同士、大事に乗ってゆきましょう!
    またこんな記事でも見てくださっている方もいるということで、サーブ関係のエントリーをまた投稿してゆきますのでよろしくお願いいたします。

  • 土偶さん、はじめまして。
    この記事のおかげで、自分で ヘッド・ライトのハイ・ビーム動作不良を直すことができました。
    本当にありがとうございます。役に立ちました。
    僕の場合にはランプ・コントロールリレーの基盤は、見た目には接点不良が見当たらなかったのですが・・・
    もしや・・・やって損はないと思いなおして基盤のハンダ部を、総て溶かして付け直すことにしました。
    それで組み付けてリレー・ボックスに設置してみた所、なんとハイ・ビーム動作がすっかり直りました。嬉・・・。
    感動して言葉がありませんよ。
    ヤナセで修理代 50~60万円くらいを覚悟してましたからね。
    土偶さん、あなたは天才です。スペシャリストです。
    ありがとうございます。

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