アゴタ・クリストフ 『昨日』

アゴタ・クリストフ 『昨日』

『悪童日記』三部作に続く、アゴタ・クリストフの四作目の小説となる 『昨日』を職場の図書館で借りて読む。ものの数時間で読み終わりちょっと量少ないぞコノヤロー。 内容は悲惨な家庭環境と祖国を捨てて逃げ出し、異国で工場労働者として孤独に暮らす、理想の女性を夢見る青年の物語。 と言うとありきたりやけど、流石にアゴタ・クリストフだけあって、「死こそ安らぎ」的な心象風景と、「何も感じない何も見えない」的な冷た[…]
ミラン・クンデラ『冗談』

ミラン・クンデラ『冗談』

ミラン・クンデラ『冗談』を朝起きた瞬間から読み始め、夕食後に読み終わった。 いつぞやのエントリに書いた「図書館司書の精」のような女性に教えてもらった図書館の棚から借りてきたもので、分厚い二段組のハードカバーであったけど、とても面白かったので一気に読んだ。 『存在の耐えられない軽さ』や『不滅』と比べて、ストーリーテリングで読者を乗せてどんどんドライブして行く感じの、王道の小説作法に則った本でとても読[…]
阿部和重『ニッポニアニッポン』

阿部和重『ニッポニアニッポン』

阿部和重『ニッポニアニッポン』を読んだ。 この本は第125回芥川賞候補作となった作品で、2001年に単行本が発売された。 「神町サーガ」の一つを成す物語で、時系列で並べれば、依然読んだ『グランド・フィナーレ』の前の物語にあたる。 アマゾンでは 「17歳の鴇谷春生は、自らの名に「鴇」の文字があることからトキへのシンパシーを感じている。俺の人生に大逆転劇を起こす!―ネットで武装し、暗い部屋を飛び出して[…]
稲垣足穂『一千一秒物語』

稲垣足穂『一千一秒物語』

稲垣足穂『一千一秒物語』を読了。 著者は1900年生まれで1977年没、1971年には社会現象となるほどにもなったらしい。 某上海氏に薦められて読むまで全く知らん人やったけど、上司の一人は全集を持ってて、そのまた上司も当たり前のように喋ってるし、父は桃山に住んでた奴でえらい高い本があるらしいでと言う。知らぬは俺ばかりで自分教養の薄っぺらさや偏りを自覚する。いや。時代のズレだと思っておこう。 で、こ[…]
市営図書館 日記/雑記/妄談

市営図書館

ほぼ15年ぶり位に利用した市営の図書館にて、読みたくはあれどもかなか古本屋に見当たらぬ本どもたいそうありて(あたりまえ)妙にテンションなどあがりたる。 フランス文学の棚にミラン・クンデラが見当たらず、変なテンションのまま、わざわざ遠くにいた一番魅力的で雰囲気のよさげなメガネっ娘司書のお姉さんを呼んで聞いたら、フランス語で執筆してフランスで出版したからと言ってフランス文学ではなく、チェコ人なので「そ[…]
顔面セーフ文化圏 日記/雑記/妄談

顔面セーフ文化圏

「人と違う自分」などとのたまう場合は、ほぼ例外なく「人より優れた自分」の意味を内包しかつ隠蔽しているのであって、しかるに、たいていの場合それが指している地平は、独自の方向や独自の量で持って築いたものではなく、「人より少しは先んずる」程度の地点でオリジナリティーのかけらすらないやんかこの野郎と他人に対しても自分に対しても思うことが多い。 考えてみれば、純粋な意味での「人と違う自分」なんてものはわざわ[…]
エーリッヒ・フロム『愛するということ』

エーリッヒ・フロム『愛するということ』

だいぶ前に古本屋から連れて帰ってきたまま肥やしになっていたエーリッヒ・フロム『愛するということ』を昨日と今日で読了。 彼はフランクフルト学派の新フロイト派、フロイト左派とか分類されるユダヤ系ドイツ人の社会心理学と言うことになるんやろうけど、後年は仏教や禅の研究にも勤しみ、鈴木大拙とも関わりが深かったらしい。 タイトルと装丁と帯はかなり恥ずかしい痛い系の本のようでイヤイヤだが、オリジナルが1956年[…]
廿日大根第二世代 日記/雑記/妄談

廿日大根第二世代

土曜日の昼に残った廿日大根をすべて収穫し、その夜に種を蒔いた廿日大根が今日の夜に見るとすでに芽を出していた。 「廿日大根セカンドジェネレーション」もしくは「廿日大根セカンドチルドレン」よ、大きく育つが良い。 現在、土偶入れて会員二名ではあるけど、「廿日大根友の会」発足と言うことで目出度きかな。 今日もお造り用秋刀魚が安かったので買って帰る。 片身を刺身に、片身の皮を引かずに直火で炙って「たたき」に[…]
ボリス・ヴィアン 『日々の泡』

ボリス・ヴィアン 『日々の泡』

ボリス・ヴィアン 『日々の泡』を読んだ。 フランス人である著者のボリス・ヴィアンは39歳で死に、生前は作家と言うよりはジャズトランペッターや作詞家、歌手としての方が有名だったように、生前の彼の作品は誰にも見向きされなかったが、死後にコクトーやサルトルやボーヴォアールによって発掘されて人気と名誉が回復した。と言うことになるらしい。 この本のオリジナルは1947年にフランスで刊行され、今から36年前の[…]
秋刀魚料理色々 生活

秋刀魚料理色々

いつもの魚屋さんでお造り用サンマが安かったので秋刀魚尽くし。 秋刀魚の刺身、秋刀魚と蛸のカルパッチョ、秋刀魚の肝と茄子の吸い物、鰤大根ならぬ秋刀魚アラ大根柚子酢橘風味。 カルパッチョだけ手間かかるけど、どれも簡単なわりに脂の乗った秋刀魚にぴったりで良い感じ。 秋刀魚大根は聞いた事の無い料理やけど、アラを煮る前に熱湯に軽く湯通しして血合やぬめりや余計な脂を取っておくと、生臭さは殆ど無くっている筈。 […]
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