冬のガガンボ

今日風呂に入って湯船に浸かって「ほへー」とくつろいでいると壁に小ぶりのガガンボがとまっているのを見つけた

夏なら「逃げる奴はガガンボだ!逃げない奴は良く訓練されたガガンボだ!」とベトナム戦争のドア・ガンナーのように逃げ惑うガガンボ目掛けて手水鉄砲で水をかけて遊ぶのだが、ただでさえ飛ぶのが下手糞なガガンボなのに、何を間違ったか冬に出てきたせいか余りにもよろよろしている。

流石の私も「簡単さ!動きがのろいからな!」と撃墜するには余りにも可哀想過ぎた。そっと手で覆うように捕まえて「森へお帰り」と窓の外から逃がしたのだが、バケツの水が凍るような冬の夜の野外に放り出したのはむしろ酷かったのじゃないかと思うも時既に遅し。

結核にかかった主人公が、動きがのろくて弱弱しく今にも死にそうな冬の蝿に自己投影したり同情したりするとてつもなく暗い梶井基次郎の『冬の蠅』って有名な小説があったが、今の私も「冬のガガンボ」にとっても同情的な気分だ。

うん。わかるぞ!冬のガガンボの気持ちよくわかるぞ!

いやいやあかんあかん。どうせならもっとポジティブに明るい生物に自己投影しよう。

そう、夏になるとテンションの上がる私としては夏の虫が良い。

街灯に集まる「夏の蛾」は?飛んで火にいる夏の虫…あかん、カモにされてる!

夏に出てくる「クワガタムシ」は?夜にゴソゴソ出てきて蜜の奪い合いでケンカ、メスの取り合いでケンカ…あかん、ケンカばっかりや!

じゃぁ真昼間にこれでもかと泣き続ける「クマゼミ」は?十年ほど暗い土の中にいて夏に出てきて子供に網で追い回され、上手く生き残っても一週間で…あかん悲しすぎる!

うん。やっぱり冬のガガンボで良いです…

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