ときめきスペランカーメモリアル

先日「メトロイド」をクリアした後、伝説のクソゲーである「スペランカー」に挑戦していたのだが、やっとのことで地下奥深くにあるピラミッドにたどり着いて財宝を手にした。
このスペランカーというゲーム、ご存知の方には説明するまでも無いほどの有名ゲームなのであるが、一応知らない人に説明しておくと、探検家である主人公が洞窟の奥深くの地底のピラミッドにある財宝を目指して探検するというものである。
まぁ、「インディージョーンズ」のようなイメージのゲームで、蔦を上り、蔦から蔦へと飛び移りつつ、邪魔な岩をダイナマイトで爆破し、襲い来る幽霊を銃で薙ぎ倒し、飛び回る蝙蝠をフラッシュで撃ち落し、隠された鍵を発見して、扉を開いて、洞窟の奥へ奥へと進み財宝を目指す、と、ここまでだと巷によくありそうなゲームなのだが、このゲームが他の同じようなゲームと比べてどう有名なのかと言うと、張り巡らされたトラップと個性溢れる敵キャラクターの多彩さ、などではない。
このゲームの主人公はゲーム史上最弱、あるいは病弱と言われるところがこのゲームが「伝説のクソゲー」たる確固たる地位を築いている所以である。
例えば、コウモリにフンを落とされて死亡、体ほど高さの段差から飛び降りると死亡、下りエレベーターでジャンプすると着地した時に死亡、と言うくらいの病弱さ。
もう地底なんか探検してんと引きこもっていた方がええんちやうかと。誰しもが突っ込みたくなるところである。


というわけで私は、ちょっとしたことが命取りになる、このゲーム史上最弱のヒーローを、ちょっとの段差にも躓かないように、勾配の強い坂道で転ばないように、ちょっとした風もあたらないように、腫れ物を触る如く、真綿で包むが如く、男に振られたばかりの思春期でかつ反抗期の女の子と話をするかの如くに操ってやっとのこと最深部のピラミッドまで連れて行って財宝を手に入れたのである。
たしかに、このゲームは難しかった。とはいってもこの難しさと言うのはメトロイドや魔界村などの普通のゲームの方向性とは一味違い、いかにソフトに主人公を操るかと言う、ちょっとそれは違うんやないか?という方向性なのだが、まぁ確かに達成感はあった。
で、財宝を手に入れて喜んだのもつかの間、次の瞬間、この最弱ヒーローはこの財宝に飽き足らずまた別の迷宮へと冒険に繰り出しているではないか。
こんな病弱な体で迷宮を潜り抜て死ぬことなく財宝を手に入れることが出来たのは殆ど奇跡だと言うのに、自分の力を過信しているとしか思えない。
こんな余りにも冒険とは程遠い主人公が探検を繰り返せばその先に待っているのは、坂道で転んで死亡するか、下りエレベーターでジャンプして死亡するか、蝙蝠のフンに埋もれて死ぬかといった散々な運命だけである。
身の程にあわない欲望の追求は破滅の道でしかないのである。
調べてみると、このゲームはエンディングが無く、ずっと同じ迷宮をさ迷い続ける仕様らしい。
しかも、二周目以降の難易度の上昇は敵が強くなるとか、トラップが激しくなるといったものではなく、「鍵が見えなくなる」といった方面で行われるということである。
このゲームの難しさは、敵の強さやトラップの激しさなどと言った方向性ではなく、いかに主人公を優しく扱うか、いかに見えないものを手に入れるかと言った方向性である。
これはどちらかというと、いわゆるアクション系のゲームのような「いかに喧嘩に勝つか」というよりは、ギャルゲー的に「いかに女の子を落とすか」に近いような気がする。
スペランカーはアクションゲームと言うよりはギャルゲーに近いのだ。
主人公の見の程をわきまえぬ欲望を直視しながらも、婦女子をたらし込むが如きの難しさがある、何とも含蓄深い不思議なゲームであった。

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