本についた血 

先日仕事帰りにジュール・ヴェルヌの『神秘の島』を市立図書館から借りてきた。
少年少女向けの位置付けの本なので児童書の棚を探したのだが、児童書の棚にあるその他の本のタイトルを読んでいるとなんと面白そうに見えることか。
で、夕食後に早速『神秘の島』を読み始めたのだが、子供ばかりが読んでいるのであろうせいか、やたらと本がボロボロなのはいいとして、なんかおやつの食べカスらしきものが本の間から出てくるのはちょっと嫌である。
ページにある染みも、チョコレートだろうなと想像できるのはまだ理解の範囲内にあるけど、明らかに血としか思えない染みがあるのは一体どうした訳だろう?
ちょっとしたホラーな本やったら血がついていると「ギャー!!」やろうけど、あまりにも健康的な冒険活劇な本なので「もしかして血?なんで?」としか思えない。
なぜ本を読んでいて血を流すようなことが起こり得るのだ?
子供が本読みながら血を流す状況をいろいろと思い浮かべてみるとなかなか可笑しいものがある。


そういえば、子供のころは何の脈絡もなく突然鼻血を流したり、いつの間にか怪我をして血を流していたりしたものである。
この本についていた血も深く考える意味もない、そういった特に意味をもたない血の一つであろう。
おそらく、私の前にこの本を読んだ子供たち、そして私の次にこの本を読む子供たちはこの本についた血なんかに疑問を持ったり意味なんか求めたりしないだろう。本についた染みを意に介さず、ただ本を本としてだけ読むに違いない。
本を読むだけでなく、本に挟まっている食べ物の欠片やチョコレートの染みや血痕まで本の一部として読み解こうとするのはおそらく子供のメンタリティーではないだろう。
大きくなると何でも意味を求めたがる。という方向性ではなく、何でも楽しんでしまおうとする意図を持てるようになることが、年を取る事で良い事の一つではなかろうかと思った。

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