『バビル二世』を読む。/漢の中の漢ヨミ、それにひきかえ超ニートの少年バビル二世ときたら…三つのメイドさんに命令だ、ニャー!

amazon ASIN-4253903614最近はやたらと長い『チボー家の人々』を読み続けているのだが、それと平行して古くて有名だけど読んでいなかった漫画なんぞも買ってきて読んでいる。
最近読んだのは、子供の頃にテレビでやっていたアニメが大好きだった『バビル二世 』である。
超高性能コンピューターに守られたバビルの塔に住んでいるバビル二世がロデム、ロプロス、ポセイドンの三つのしもべと共に、世界征服を企む悪者のヨミと戦う話であるが、アニメ版と漫画版が違うのは当たり前にしても、私は飼っている亀にロデムと名づけようとして「流石に亀にロデムはないわww」と諦めたくらいにロデムが好きだったので、しもべの一人のいつも黒豹の形をしているロデムがバビル二世のことをアニメのように「バビル様」ではなく「ご主人様」と呼んでところにがっかりした。
外で一仕事して来て帰ってきたバビル二世を迎えたロデムが「お帰りなさいませご主人様」などと、もうお前はどこのメイドさんやねん。
このデフレの時代にインフレを起こしている「メイドさん」のような発言をするのが気に食わない。
もうここは「メイド喫茶バビルの塔」で「三つのメイドさんに命令だ、ニャー!」ですかな。
完全自律型のスパコンを備え、ありとあらゆる兵器で武装した難攻不落の砦を本拠地とし、圧倒的な戦力を持つ三つのしもべを従え、次元の違う超能力を持つバビル二世は、一世から受け継いだものだけで戦い、何も改善せず作り出さずバビルの座に収まっているだけである。一代目が家を興し、二代目が母屋を傾け、三代目が潰す、って感じですかな?
いやいやどちらかというとバビル二世はある意味でニートである。実質働いてないしね。
強力なコンピューターに守られて、その居城に誰にも近づけないようなオーラを出して、三つのメイドに命令する、うん、ニートといえなくもない。
「鬱のオーラに隠された カオスな部屋にひきこもる 超ニート少年バビル二世!」てなもんですな。
そういえばこの歌は小学生にとって格好の替え歌の題材だった。「怪鳥ロプロス羽根がない、ポセイドンは泳げない、ロデム短足走れない」って懐かしいなぁ。(遠い目)


子供の頃アニメで超能力者で強くて勇敢で勇気あるバビル二世とその三つのしもべに魅力を感じていたけど、この原作のバビル二世は超高性能コンピューターと三つのしもべと自分の能力に頼りきった戦術しか取らない。力だけで押し切ろうとする姿勢はもう戦術と呼べないレベルである。
それに引き換え、バビル二世に比べて圧倒的な悪条件を強いられ、ありとあらゆる戦略を駆使し、ある時は自らの能力で、またあるときはその組織力で、自らの力と勇気と部下とのチームワークで戦う、裸一貫から世界征服を目指すヨミに男気と魅力を感じてしまった。
バビル二世を倒すべく世界征服を目指すヨミはチベットの教祖から身を興し、組織から砦から軍隊まで立ち上げた典型的な成り上がりワンマンボスである。
しかし世間のたいていの独善的で高圧的なワンマンボスとは違い、彼は世界征服の方針を部下たちとの会議で決定し、部下の独創的な意見は積極的に取り入れ、バビル二世を倒すチャンスをふいにしてまでバビル二世にかけられた罠から自らの命を懸けて部下を助け、もし自分が倒れても部下たちが何とか自分を助けてくれるだろうというところまで部下を信頼している。
せっかく作った基地を何度も壊され、多くの部下を殺され、開発したばかりの兵器を破壊されても、死の淵に追い詰められても部下に助けられて蘇り、心が折れずに自分と部下を叱咤して諦めず戦う、管理職の憂いに包まれながらも、部下達を愛して信頼し、圧倒的な力とカリスマで部下と一丸になって世界征服の為に障害であるバビル二世と戦うヨミが部下たちに慕われるのも納得である。
最後はお星様になったヨミ様は漢の中の漢であろう。
バビル二世を見てアニメの歌を聴きたくなったのでオープニングとエンディングの局を某動画サイトで見て、そこでエンディングの歌を初めてフルコーラスで聴いた
エンディングの歌には途中で「ロデム!変身!」「ゆくぞ!ロプロス!」などとロデムとロプロスをけしかける台詞がある。
アニメでは2番までしかなかったので子供ながらに「ハミられたポセイドンかわいそう」と思っていたのだが、フルコーラス版ではちゃんと「進め!ポセイドン」と言及されておりちょっと安心。
しかし、三つのしもべを一番ずつけしかけて3番で終わりかと思っていたら4番が始まった。
「次は誰をけしかけるんやろう?」と思っていたら「みんな、がんばれ!」だったので笑ってしまった。
けしかけるだけけしかけておいて「がんばれ!」と精神論ですかもう…
最初から最後までバビル様は人任せですかもう。どうせなら「がんばれ!俺!」にしたほうがいいよ。
なんかもうこの漫画を読んでこの歌を聴いて、子供のころに抱いていた「バビル2世=ヒーロー」のイメージは崩れて「バビル2世=出来の悪い二代目」なイメージになってしまったのであった…



2件のコメント

  • ですよね!ヨミが世界を征服したほうが世界は幸せなんじゃないかとすら思えました!

  • まったく同意ですね!

紅茶 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

PAGE TOP