ベートーヴェン チェロソナタ Pierre Fournier & Wilhelm Kempff
2007年4月15日
この日もいい天気だったが、一日引き篭もっていた私には直接的な恩恵は無し。
引き篭もりつつ本を読み音楽を聴き、ウトウトして目を覚まし、本を読みつつ音楽を。
こういう休日の過ごし方を、どれくらい繰り返しているのだろう。誰とも接しないでひたすら内へ内へと内向する。自分の井戸を掘ったところでどこにたどり着けると言うのだ?
某レディの「外に出ないと!」という言葉が頭に木霊する。
しかし、開けっ放した窓からは爽やかな風が吹き込み、部屋には好きな音楽が満ち、目を下ろせば好きな本がある。
もう、私の人生これで十分と言えば十分である。他に、この私に、一体何が望めよう?
ここしばらく弦楽四重奏ばかり聴いていたけど、先日からベートーヴェンのチェロソナタばかり聴いている。
聴いているのはピアノがケンプでチェロがフルニエと、ガメラ対ゴジラのごとき豪華キャストなドイツ・グラモフォンの名盤であり、二枚組みで5つのチェロソナタの全てが入ってる中々お得なCDである。
焼けきれるほど聴いた懐かしいCDで、私の中で余りにも特定の人と時間に関連付けられた音楽やけど、聴いているうちにそんな感覚も解けてくる。痛みを伴った懐かしさを心地よく感じる年になった事を嬉しく思う。
ベトベンのチェロソナタと言えば3番が有名やけど、今は作品102-2の5番が一番好きである。
弦楽四重奏の15番にも通じるような、静謐、ドラマチック、そして内向的と三拍子そろって文句なし。第3楽章のフーガがもうたまらん。
そして、如何にも「ドイツ」なケンプのストイックなピアノと、いかにも「フランス」らしいフルニエの華麗なチェロの相性もばっちりである。