エクスタシーの歌~ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの世界

amazon ASIN-B0014W8T1A久しぶりにCDを買った。
「エクスタシーの歌~ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの世界」とちょっと怪しげなタイトルであるけど、一応ちゃんとした中世の宗教音楽である。
「中世ヨーロッパ最大の賢女」とも「ラインの女預言者」とも「ドイツ薬草学の祖」とも呼ばれる、中世ドイツの女子修道院長であるヒルデガルト・フォン・ビンゲンの宗教曲集で、「セクエンツィア」なる中世音楽アンサンブルによるものである。ドイツ・ハルモニア・ムンディの限定版で1000円ととても安かった。
単旋律の伴奏なしの殆どユニゾンと言うことで、ほぼ同時代のグレゴリオ聖歌と同じような作りやけど、このCDに入っている曲はほぼ高音域の女声が殆どでグレゴリオ聖歌とはかなり違った印象を受ける。
元々ルネッサンス期のオケゲム、ジョスカン・デ・プレ、ギヨーム・デュファイなどの宗教曲が好きで良く聴いているけど、それより数百年前のビンゲンのヒルデガルトの音楽は、構成が単純な分だけよりトリップ感は大きいような気がする。


ビブラートしない女声の高音域で歌われる単純で綺麗な旋律を聴いていると、いつの間にかなんともいえない恍惚感に似た変なダウナー系トリップ感に結構深く入りそうになるのだが、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンは幻視者でもあったということで、その幻視を垣間見たような気分になる。
男性がキリスト教の神に向かうのと、女性がキリスト教の神に向かうのとでは、若干信仰の形が違うと言うけど、なんかこれは男の宗教者にはない境地なんやろうな、となんとなく想像出来る様な気がする。
男である私にとってこのヒルデガルト・フォン・ビンゲンの音楽は、なんかちょっと見てはいけないものをふと見てしまったような、なんだかちょっと危険な香りがするのであった。
宗教的奇人風の幻視者でありながら、音楽にも文学にも科学にも秀でた知的に突出した面をもつ、このヒルデガルト・フォン・ビンゲンなる人物に興味が出てきたので、彼女が書いたものか、彼女についての本でも読もうかなと言う気になってきた。
しかし、今から910年ほど前の人が作った音楽が聴けるとは、考えれば気の遠くなるような話ではある。

1件のコメント

  • 「オーストリア」と言えばアントワネットやらナージャではなくビアギット!!!

    …私事でスミマセンなタイトルです;
    いよいよ明日から、待ちに望んだ
    「ドイツ&オーストリア旅行」です!
    数年ぶりのヨーロッパの地…美味しい空気を…

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