グレン・グールド「モーツァルト:ピアノソナタ集」

amazon ASIN-B0002ZEZVS最近ちょっと自分の「音楽の聴き方」ってのにかなり疑問を持ち始めたと言うこともあって、印象とか感覚とかで持ってるCDについて感想を書いてみようと思う。
最近結構気に入って聞いているのが、私の好きなピアニストであるグレン・グールドの「モーツァルト:ピアノソナタ集」で、全編を通して、モーツァルトとして聞けば異様な雰囲気の漂っているCDである。
攻撃ヘリから軽機関砲の弾幕でベトコンの野営地をなぎ倒すようなイ短調K.310の第一楽章、それとは逆に異様にテンポが遅くて躓きそうで、アルペジオが更に異様な雰囲気をかもし出している「トルコ行進曲」が有名どころだろう。
モーツァルトのピアノソナタってなんとなく軽快なイメージがあるけど、異様に早かったり気色悪いほどに遅いグールドの演奏を聴いていると、なんかどこにもたどり着けず同じところをぐるぐる回っているような感覚に陥ってくる。
こんな事いうと怒られそうやけど、グールドと言う人間の救いの無さが良く現れているように思う。
しかし、グレン・グールド自身の救いのなさってのは、結局人間一般の救いの無さと、人生一般の救いの無さの一つの表現系であるだろう。
一人の孤独な男の陥った地獄を垣間見ることは、ある種の慰めになるように思う。
しかし、こんな音楽の聴き方はあまり一般的でないネクラ系の聞き方だろうなぁ。このCDを聴いていると、なんかつくづくグールドって寂しかったんやろなぁという気がするのであった。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。

PAGE TOP