ローランド・カーク 『溢れ出る涙』

amazon ASIN-B000IJ7IYYローランド・カーク『溢れ出る涙』を聴いた。
このローランド・カークって人は盲目のマルチ・リード奏者で、一度に三本のリード系楽器を咥えて吹き、更に鼻でホイッスルを鳴らし、時には歌ったり唸ったりと、グロテスク・ジャズやとか言われて、奇人変人の類にカテゴライズされることが多いようだ。
この人の他のアルバムは私の中では思い出深いものにカテゴライズされている『ドミノ』 というの持っているのやけど、それに比べてこの『溢れ出る涙』は彼の変人度が低いような気がする。
このアルバムの中にはいわゆる「ジャズ」っぽいのもが入っていて、そういうのと一緒に「息継ぎ無しの三本同時吹き歌入り」なんてのを聴くと、それなりにまともな人がちょっと変わった事をしてみたようにも聞こえない事もない。


しかしながらこの人はまったくまともじゃない。
この人のぶっ飛び具合が奇をてらって人と違うことだけをするのを目的としたものでないのは聴いていると良く分かるし、生まれながらの変人は美しいとすら思える。
アルバム名にもなっている「The Inflated Tear」はどうだろう。情念と言うか叫びと言うか訳の分からないものが彼の溢れているように聞こえる。
これが彼の言う涙なのか?
なんというか、こういうのを聴いていると俺はいったい何をしているのだろうとつくづく思う。

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