映画 24 8月 2007 テリー・ギリアム「バロン」(1988/英 独) ASIN:B0009J8E8C ドイツの童話『ほらふき男爵の冒険』の映画化と言う事になっている、テリー・ギリアムの『バロン』を見た。 地球の反対側の的を射抜くスナイパー、弾よりも早く走る韋駄天、船三隻を振り回す怪力男、口から吐いた息で師団丸ごと吹き飛ばす小人を家来に引き連れたバロンの冒険劇。 妙にシュールで変な美しさのある躁な世界であり、こういうのが好きな人にはたまらんのやろう。 無茶苦茶で不真面[…] 続きを読む
日記/雑記/妄談 23 8月 2007 洗足木曜日 光文社古典新訳文庫の『カラマーゾフの兄弟』が古典文学では異例のベストセラーになったと言う事でなんだかとても嬉しい。なんとなく世の中捨てたものじゃないと思う。 『カラ兄』は土偶を構成するもののひとつであるだけに、自分が世界に受け入れられたような気までしてくるのが不思議である。 古典を新しく訳しなおして世に出し、新しい流れをこの世界に引き込んだ光文社の企画はとても素晴らしい。商業的にも成功したようで本[…] 続きを読む
音楽 22 8月 2007 フリードリッヒ・グルダ「悲愴」 (アマデオ盤) ASIN:B0009N2VFU フリードリッヒ・グルダの演奏するベートーヴェンの表題付きピアノソナタを聴く。アマデオ盤の全集録音の中から8番、14番、23番、26番の入ったCDである。 グルダは自分のコンサートでベートーヴェンやモーツァルトと一緒に自分の作曲した曲を演奏したり、アンコールで客からのリクエストを受けたり、後年にはジャズへと傾倒して演奏までした異端児であった。 変人好きの私としては、グ[…] 続きを読む
映画 21 8月 2007 スタンリー・キューブリック 「突撃」(1957/米) ASIN:B00005EYQ0 キューブリックが監督だということで、「突撃」を観た。 第一次世界大戦で砦を巡ったフランスとドイツの塹壕戦を描いたもので1957年公開と結構古い初期の監督作品である。 カメラワークがどうとか反戦がどうとか言われるけど、私自身は特にそんなことに興味は無く、あんまりキューブリックという感じがしなかった。 この映画はキューブリックや映画を語る上での歴史的な価値があるという言[…] 続きを読む
日記/雑記/妄談 20 8月 2007 プチ離人 休みの間は某補完計画のようにふやけて溶けきったような、自分と外の境界線が殆どないが如き、自分自身を解放しきった暮らしぶりであっただけに、長い休みの後に仕事をすると自分自身が自分自身で無いような、異物に囲まれたような、変な違和感を感じる。 違和感といいながらも、それは「自分自身が自分自身で無いと感じる自分こそが自分である」という逆説的なやり方で、自分が外部と独立した存在であることを感じさせてくれるわ[…] 続きを読む
日記/雑記/妄談 19 8月 2007 マナ、蛇口、足の裏 足を火傷してしばらくまともに歩けずおり、ようやくにして治りかけてきて、ちゃんと歩けるということはありがたいことやなーとしみじみ思う。 いつも日常的に食べ慣れている物でも別の人が食べればマナの如きありがたき物となりえることを思いつつ、水道が故障すれば蛇口を捻れば水が出ることが奇跡であることを、そして足の裏の皮が厚く丈夫であるのがどれだけありがたいのかを理解する。 われわれはありがたい事に囲まれつつも[…] 続きを読む
日記/雑記/妄談 18 8月 2007 「非日常」を送る火 一昨日久しぶりちゃんと五山の送り火を見た。五山と言っても「大」と「舟形」の二山だけやけど。 「大文字」は遠目ながらもくっきり見えたけど、「舟形」に関しては殆ど麓から見たので全体像が見えず「壮大な山火事」のごとき趣であった。 「送り火」はお盆と言う事で現世に里帰りしていた「ご先祖の霊」をお盆終了に伴って「あの世」に送り返すというコンセプトやけど、テレビで山折哲雄が京都盆地の地図に五山の絵を描いて、京[…] 続きを読む
映画 17 8月 2007 スティーブン・スピルバーグ「未知との遭遇」(1977/米) ASIN:B000H1RGUE 「有名やけど見ていない昔の映画を見よう企画」の一環ということでこの日は『未知との遭遇』を見た。 地球外生命体との「ファーストコンタクト物」を描くものであるけど、全編善意と好意に満ちていてなんとも心地よい。 何にも物怖じしない純真無垢な子供のようにでもなく、自分の使命や強さを意識しているエリートや超人の様に地球のためでもなく、沢山の大人たちがお互い寄り集まって恐れと好[…] 続きを読む
音楽 16 8月 2007 『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』アンドラーシュ・シフ アンドラーシュ・シフの『ゴルトベルク変奏曲』を聴いた。 グレン・グールドでない『ゴルトベルク変奏曲』を始めてちゃんとゆっくり聴いたのだが、『ゴルトベルク変奏曲』についてはネット上でいろいろな人が色々な演奏家の物を聴き比べて色々な評をしているけど、このシフの演奏についても大体私もたいてい言われるような印象を持った。 つまりグールドのものと比べて、変な緊張感とか切迫感とか差し迫った所は無く、とてもまろ[…] 続きを読む
映画 15 8月 2007 「フィッシャー・キング」(1991/米) / 「アンジェラの灰」(1999/米 アイルランド) 今日も暑い。クーラーの無い我が部屋で続けざまに『フィッシャー・キング』『アンジェラの灰』を観る。 ASIN:B00005M931 テリー・ギリアム監督の『フィッシャー・キング』はその名の通り漁夫王の聖杯伝説をモチーフに、落ちぶれた人気DJと精神を病んだホームレスの友情、そしてそれぞれの恋愛と癒しを描く物語である。 と書くとチープやけど、中途半端なリアルさを追求しない荒唐無稽なストーリーと展開がギリ[…] 続きを読む