岡嶋裕史『ハッカーの手口 ソーシャルからサイバー攻撃まで』 /「サイバー空間での戦闘」とはどんな戦闘か

前日に「サイバー空間で行われる戦闘」、「戦闘空間としてのサイバー領域」「通常戦闘に不可欠な空間としてのサイバー領域」について書いてある最近読んだ三つの本をおいおい紹介してゆくつもり。

と書いたが、まずは最初の「サイバー空間で行われる戦闘」について岡嶋裕史氏による『ハッカーの手口 ソーシャルからサイバー攻撃まで』 を、

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この本はネット上で行われる典型的な「ハッキング」やら「クラッキング」の手法をソーシャルエンジニアリングからフィッシング、SQLインジェクションから分散反射型DoSアタックまで幅広く紹介しており、そんなアタックやクラックの対象が国家や企業や団体だけでなく、一個人にまで及んでいるという話である。

この本の特徴的なところは、一般的なサイバー攻撃の手法を紹介するだけでなく、その攻撃に我々がどれくらい無防備で、どれくらいの被害が及びうるかというところが強調されているところだろうか。

「サイバー空間で行われる戦闘」についての本として紹介したけど、これはその「戦闘」に関して、ネットやサイバースペースでのアタックとは具体的にどんなものか、何が攻撃の対象になり、何が盗まれる対象となり、なにが操られる対象となるのか、それが大まかに理解できる本である。

そしてそれが技術者向けに書かれているのではなく、ITの知識が殆どなくても読めて理解できるように平素に書いてあるところがミソである。

この本はサイバースペースを戦闘領域と捉えた場合、その戦闘領域で実際に戦闘を行う戦闘員のための本ではなく、戦時下にあるサイバースペースで生きる人が戦闘に巻き込まれたり戦闘に駆り出されたりしないための基礎知識みたいなものではないだろうか。

 

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