生き残るための教養/大澤武男『ユダヤ人の教養:グローバリズム教育の三千年 』/山形浩生『新教養主義宣言』

最近「教養」がタイトルに含まれる本を立て続けに2冊読んだ。

一冊は最近出たばかりの新刊書、
大澤武男『ユダヤ人の教養:グローバリズム教育の三千年 』

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そしてもう一冊は20世紀の終わりに書かれた古い本、
山形浩生『新教養主義宣言』である。

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一冊目の『ユダヤ人の教養』はユダヤ人が世界中から迫害や差別や規制を受けながらも民族的アイデンティティーを保ちながら生き残るだけでなく、他の民族と比べて圧倒的に優秀な人材を輩出しているのは、ユダヤ人の全てが子供の頃から十分な教育を与えられて教養を育まれるといった、紀元前より続く教育制度と知に対する民族的な姿勢によるものが多い。という話で、

二冊目の『新教養主義宣言』は山形浩生がいかに様々な方面への教養を持つことが知的に楽しいことで社会的な潜在能力を持つのかということをベースに、ロックミュージックからフリーソフトウェアからアメリカ文学や経済学から生物学から漫画や社会学といった色々なことに関するエッセイを集めた評論集となる。

20世紀の終わりに書かれたものだけど今読んでもまったく色あせていないというか、ほとんど時代は進歩していないように見えるのはさすが山形浩生というところですなー

この二冊の本はまったく違うことを題材にしているけど、教養はまったく役に立たない飾りや娯楽や趣味なのではなく、教養を高めてゆくことそのものが理屈抜きの根源的な大きな喜びとなりながら、また同時に差別され阻害され組織に守られることなくアウトサイダーとして生きるものにとっては生き残るための助けになるものだ。

というような価値を共有しているのが面白い。

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