古本屋で消え入りそうになる

なんちゃらオフなる巨大チェーン型の古本屋が台等しだしてからというもの、そこで二束三文で売り飛ばされている書を買い叩いてくるのがすっかり生活習慣として定着した。

昔ながらの古本屋と言えば、店ごとに得意ジャンルがあってその系統の本ばかりが重点的に集めてあるといった方針であるので、店に行った時点でその店の傾向の本ばかりに出合うことになる。

しかし、このなんちゃらオフなる巨大店舗型は実に様々なジャンルの本が内容や傾向ではなく出版年度と汚れ具合の価値基準でのみ判断されて並んでいるので、いままで全く目の引かなかったジャンルがこれほど多かったのかと驚くことが多い。と言うようなことを前にも書いたような気がする。

以前一番驚いたのは「上司や友人による新郎新婦へのスピーチ」或いは「披露宴での花嫁から両親への手紙」などといったスピーチ系の本がかなり沢山あることだったのだが、最近一番驚いているのは文庫の棚の殆ど1/4から1/5くらいを「ライトノベル」なるジャンルの本が占めていることである。

本好きを自称する人にとって「ライトノベル」は中高生の読むもので大の大人が読むのはこっぱずかしい、というイメージがあるし、知り合いにも読んでいるという人を知らないし、どちらかと言えばマイナーなジャンルであると思い込んでいるような気がする。

私にとっては存在していることは知っているけど、実質的には無いのと同じ状況にも拘らず、現にこの「ライトのベル」がなんちゃらオフの文庫の棚の1/4ほどをドーンと占める状況を見ていると、実はこれはマイナーなものでもなんでもなく殆どメインストリームのものであり、本好きとしては無視してはいかんものでは無いのか?と言う感覚が沸々と湧き上がってくる。

で、このエントリを書くに当たって調べてみると、2011年の時点でライトノベルの市場規模は274億円で5000万冊の販売部数、実に文庫本の4.3冊に1冊がこのライトノベルだということになるらしい。

これから見れば私がなんちゃらオフで感じた文庫本の棚の1/4から1/5がライトノベルという感覚はかなり正確なものだということになる。

このなんちゃらオフは普通の本屋さんに比べて明らかに本の種類やジャンルの偏りが激しいと前々から思っていたけど、なんちゃらオフは売れるかどうか分からないものとか売りたいものを売っているのではなく、すでに一度は売れた本だけを扱っているわけで、実は現実の市場規模の割合を結構正確に表しているのかもしれない。

そう考えてなんちゃらオフの棚を見ていると自分の好みや趣味が市場からみればどの位の割合であるというのかが浮かび上がってきてなんだか消え入りそうな気分になるのであった…

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