スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』/タルコフスキーとレム/全く理解できないものとのコンタクト

スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』/タルコフスキーとレム/全く理解できないものとのコンタクト

ISBN-10: 4150102376 先日ジョージ・オーウェルの『1984年』を読んでから妙にSF小説が読みたくなり、ずっと家にあったものの放置されていた『ソラリスの陽のもとに』を読んだ。 ストーリーとしては、 100年以上に前に発見された、青と赤の二つの太陽を持つ惑星ソラリスに浮かぶ惑星探査施設に、原因不明の異常な事態を究明するために心理学者である主人公が到着する。 施設は荒廃し、研究員たちは[…]
ジョージ・オーウェル『1984年』/清清しいほどの暗さと救いの無さ/全体主義は分配の問題か?

ジョージ・オーウェル『1984年』/清清しいほどの暗さと救いの無さ/全体主義は分配の問題か?

ISBN-10: 4150400083 ジョージ・オーウェルの『1984年』を読んだ。 1948年の出版以来、文学だけに及ばず、音楽、映画、絵画とあらゆる方面に多大な影響を及ぼし続けている名作である。 2009年にハヤカワepi文庫から高橋和久による新訳版が出たが、私は1972年に最初に出た新庄哲夫によるハヤカワ文庫の旧訳を読んだ。 ストーリーとしては、 常に世界を三つに分けた戦争状態にある世界で[…]
おっさんマンガの王道 島耕作

おっさんマンガの王道 島耕作

ISBN-10: 406364720X 最近、今まで読む機会の無かったマンガを暇さえあれば読んでいる。 とりあえず今は「島耕作シリーズ」を「ヤング島耕作」→「課長 島耕作」→「部長 島耕作」と読んだのだが、内容が余りにもオッサン臭くて笑った。 さらに、このマンガに出てくる「仕事ができる男」は島耕作も含めてほぼ例外なく家庭が崩壊しており、更にその中のほとんどすべての男が家庭外に愛人を作っており、 島[…]
ヴィクトール・E・フランクル 『それでも人生にイエスと言う』/フランクルの奇妙な冒険 《「だが断る」は砕けない》

ヴィクトール・E・フランクル 『それでも人生にイエスと言う』/フランクルの奇妙な冒険 《「だが断る」は砕けない》

ISBN:4393363604 『夜と霧』の新旧版を読んでからフランクルなる人物とその著作や考え方にとても興味が出てきたので、彼の本を手当たり次第に買って読んでいるのだが、とりあえず『それでも人生にイエスと言う』の感想を。 この『それでも人生にイエスと言う』は春秋社の「フランクル・コレクション」なるものの中の一冊で、フランクルが強制収容所から解放された次の年の1946年にウィーンの市民大学で連続し[…]
霜山徳爾訳『夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記』/『夜と霧』の新訳と旧訳について

霜山徳爾訳『夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記』/『夜と霧』の新訳と旧訳について

以前、フランクルの『夜と霧 新訳』を読んだが、ネットでは旧版の方が優れてるとか新版の方がいいとか色々な意見があったので、えらく気に入った本だといこともあり、旧版の霜山徳爾訳『夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記』も読んでみた。 読んだのはかなり前だがいまさらながら旧訳と新訳について書いてみる。 まず、本文そのものの訳については、新版は少しライトで現代風になっているという話だったが、私は新版が旧版より格[…]
セシュエー『分裂病の少女の手記』/目にうつるすべてのことはメッセージ

セシュエー『分裂病の少女の手記』/目にうつるすべてのことはメッセージ

ISBN-10: 4622023415 読んだもののブログに感想を書いていない本が沢山あるので、内容の整理の意味も込めてできる限りここに書こうと思うのだが、 最近は内容的にもちょっと重すぎて書きにくいものが多かったので、ちょっと軽い目のこの本、中々に目を引く装丁の写真に惹かれて殆どジャケ買いした、セシュエーの『分裂病の少女の手記』の感想をば。 この本は1950年にフランスで出版されたものの翻訳で、[…]
『神谷美恵子 聖なる声』と『神谷美恵子の世界』/ニュータイプサイヤ人神谷美恵子

『神谷美恵子 聖なる声』と『神谷美恵子の世界』/ニュータイプサイヤ人神谷美恵子

ISBN-10: 4062087154 ISBN-10: 4622081865 最近神谷美恵子について書いた本『神谷美恵子 聖なる声』と『神谷美恵子の世界』を読んだ。 『神谷美恵子 聖なる声』は一人のノンフィクション作家によって「美智子皇后の相談役」なる彼女の逸話の一つを取っ掛かりにして彼女の人生を描いた本で、『神谷美恵子の世界』はみすず書房による『神谷美恵子コレクション』の別巻のような形で編集さ[…]
舘野之男『放射線と健康』/自分で放射線リスクを判断するとは

舘野之男『放射線と健康』/自分で放射線リスクを判断するとは

ISBN-10: 4004307457 先日『人は放射線になぜ弱いか 第三版 -少しの放射線は心配無用-』を読んだが、読み終わってもちょっと微妙な違和感が残っていたので、立場的に中立で評判のよさげな舘野之男なる医学での放射線利用のの専門家による岩波新書の『放射線と健康 』を読んだ。 最近でこそ報道も少なくなってきたけど、一時期は毎日のように原発関連のニュースで何々から何ベクレル検出されたとか、何シ[…]
教養としての世界史/自己変革としての第四次性徴

教養としての世界史/自己変革としての第四次性徴

ISBN-10: 406115480X 前に古本屋さんで買ったまま忘れ去られていた『教養としての世界史』をやっとこさ読んだ。 昔は「人間のすることに興味が持てない」などと殆ど「中二病」のようなことを言って歴史に興味なんか殆ど興味がなかったけど、オッサン化するに伴って歴史に対する見方が変わってきて、『チボー家の人々』を読了したくらいから急に歴史に興味が出てきた。 この「オッサン化」を私はひそかに「第[…]
『人は放射線になぜ弱いか 第三版 -少しの放射線は心配無用-』近藤宗平 @災害

『人は放射線になぜ弱いか 第三版 -少しの放射線は心配無用-』近藤宗平

ISBN-10:4062572389 この時期にとってもタイムリーな本、近藤宗平の『人は放射線になぜ弱いか 第三版 -少しの放射線は心配無用- 』 を読んだ。 内容は、放射線はごく少量から量に比例して人体の影響があるとするような「放射線はどれだけ少なくても毒である」とするICRPの「直線しきい値なし仮説」は無根拠であるばかりかデマを広げた害悪であり、 ある一定量までは人体の浄化作用と防衛機能により[…]
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