宮台真司『終わりなき日常を生きろ』/終わりなき非日常を生きる世界で/超人としょこたん @災害

宮台真司『終わりなき日常を生きろ』/終わりなき非日常を生きる世界で/超人としょこたん

ISBN-10: 4480033769 宮台真司の『終わりなき日常を生きろ 』を読んだ。 この東日本大震災で「終わりなき日常」が根本から覆されたと言わざるを得ない、むしろ「終わりなき非日常」が始まったともいえる今、なぜかこの本が読みたくなったのだ。 この本はサブタイトルに「オウム完全克服マニュアル」とあるように、まだオウムが一番の社会不安と一番の話題であった時代、今から十五年ほど前の1995年に出[…]
レイモン・ラディゲ『肉体の悪魔』/終わる世界をサバイバルしようとする物語

レイモン・ラディゲ『肉体の悪魔』/終わる世界をサバイバルしようとする物語

ISBN:4102094024 昨日「ムギツク」の「託卵」の話を書いたので、同じ託卵つながりということで、有名やけど結構最近になって始めて読んで感心したラディゲの『肉体の悪魔』の感想をば。 このレイモン・ラディゲのデビュー作であるこの『肉体の悪魔』は、第一次世界大戦の勃発した不安な社会情勢の中、十五歳の少年と夫が出征中の年上の人妻の恋愛話である。 有名な本であるけど、センセーショナルな内容だけが先[…]
草間彌生『永遠の現在』/闇や地獄や苦悩を取り込むこと/水玉世界での救い

草間彌生『永遠の現在』/闇や地獄や苦悩を取り込むこと/水玉世界での救い

ISBN-10: 4568103533 以前、草間彌生の巨大な自画像を見てとてつもない衝撃を受けてから、にわかに彼女のファンになっていたのだが、 先日古本屋で彼女の作品集、『永遠の現在』なるものを見て思わず買ってしまった。 この作品集は2004年から2005年にかけて日本各地5箇所で行われた彼女の展覧会の図録やカタログとして出版されたものであるのを買ってから知ったのだが、 展覧会の図録が往々にして[…]
ル・クレジオ『調書』/統合失調症仮想体験小説

ル・クレジオ『調書』/統合失調症仮想体験小説

ISBN-10: 4105106155 2008年に村上春樹に競り勝つ形でノーベル文学賞を受賞したル・クレジオの『調書』をやっと読むことができた。 この『調書』は1963年に彼のデビュー作として発表され、当時、サルトルの『嘔吐』と同じような位置づけで語られたこの本と著者はちょっとした話題になったようで、日本語訳も1966年に出たのだが、長らく絶版していたようである。 2008年に彼がノーベル賞を取[…]
ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』新訳版/「なぜ生きるのか」を「なぜ死を選ばないのか」のレベルで問う事

ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』新訳版/「なぜ生きるのか」を「なぜ死を選ばないのか」のレベルで問う事

先日、風邪で寝込んでいる最中にヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』の新版を読んだ。 旧訳版は1947年のものの翻訳、この新版は1977年に出た改訂版の翻訳という事になっている。 実存主義系の心理学者であり、精神科医であるヴィクトール・E・フランクルがナチスのホロコーストに収容され、その経験を主に心理学者の立場から語った本で、世界的に有名な名著とされる本である。 旧翻訳版は70ページにわたるアウシ[…]
マンガで分かるのか?心療内科?分かっただけでは楽になりませんよね… 日記/雑記/妄談

マンガで分かるのか?心療内科?分かっただけでは楽になりませんよね…

一ヶ月ぶりにこのブログを書いて「生きていたのかよ!」という突っ込みを頂いて大変ありがたや。 書くのを止めた訳でもなく、ちゃんと生きておりますぞ。 それから肉の日の結婚おめでたう。東京砂漠で肉王へとクラスチェンジしたらしき我らが餃王を切によろしくお願い致しまする。 ISBN-10: 4785933801 ISBN-10: 478593509X そういえば、『マンガで分かる心療内科』の1巻 と2巻 を[…]
松本大洋『ピンポン』/ただ楽しむこと

松本大洋『ピンポン』/ただ楽しむこと

ISBN-10: 4091847366 久しぶりに松本大洋の『ピンポン』を読んだ。 以前、五六年くらい前に読んだ時はただ面白かっただけだが、今読むととても心に染みた。 風間はチームのため学校のため家族のために卓球を続け、佐久間はコンプレックスを克服するため、文革は祖国に返り咲くため、スマイルは何が自分を駆り立てるのか良く分らないままに打っている。 卓球自体を苦しみと感じ、行き詰まり追い詰められた彼[…]
石田徹也/『石田徹也遺作集』『石田徹也全作品集』/世界は醜いか?

石田徹也/『石田徹也遺作集』『石田徹也全作品集』/世界は醜いか?

先日ブリューゲルの版画や絵についての話で、彼が世界や自分自身の欲望を如何に楽天的に明るく捉えているかをあらわすような絵だ。というようなことを書いた。 彼と同様にこういった世界の良い面をちょっと笑えるタッチで描く人と言えば、福田平八郎やミヒャエル・ゾーヴァが該当すると思う。 こういった人の絵やイラストはとても楽しく気軽に見ることが出来るのだが、逆に、世界や自分を取り巻く世界が如何に醜くて、生きること[…]
二沢雅喜、島田裕巳『洗脳体験 』/インスタント「死と再生」

二沢雅喜、島田裕巳『洗脳体験 』/インスタント「死と再生」

ISBN-10: 479667294X 二沢雅喜、島田裕巳の『洗脳体験 』を読んだ。 先日から本読みスイッチが入って軽い本を読みまくったと書いていたけど、『ネトゲ廃人』『卒業式まで死にません』『自殺されちゃった僕』、そして『洗脳体験』ってタイトルだけ見てると全然軽くないような気がして来たけどまぁいいか… この『洗脳体験 』は、「本当の自分を見つける」「可能性を開く」「自己の殻を打ち破る」「心の癒し[…]
吉永嘉明 『自殺されちゃった僕』 / 渦中の人のリアルさ/解説ではなく全否定

吉永嘉明 『自殺されちゃった僕』 / 渦中の人のリアルさ/解説ではなく全否定

ISBN-10: 4870316382 ISBN-10: 4344412206 吉永嘉明の 『自殺されちゃった僕』を読んだ。 この本も本読みスイッチが入ってから読みまくった本の中の一冊である。 著者の吉永嘉明は鬼畜系、アングラ系と呼ばれる書物をおもに扱う編集者やライターであり、 この本は吉永嘉明が友人である「ねこぢる」、編集者としての先輩である「青山正明」、そして妻を立て続けに自殺で失い、その思い[…]
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