映画:デヴィッド・リンチ 「インランド・エンパイア」/悪夢そのものな映像/夢映画

amazon ASIN-B00104Y8W6デヴィッド・リンチの「マルホランド・ドライブ」の五年後に公開された「インランド・エンパイア」 (2006/米=ポーランド=仏)を観た。
「デヴィッド・リンチの集大成」とか「マルホランド・ドライブに答えが出る」とかいう前情報があったものの、この監督やしどうせ訳わからんやろう。と思って観たが、やっぱりさっぱりわからんかった。
一応、ハリウッド女優が大役を射止めたけど、その脚本がいわくつきでどうしたこうしたというようなストーリーはあるけど、例の如くそんな事はこの映画には全く関係無かった。途中までは何とかストーリーのつながりを理解しようとしていたけど、そんな試みも途中で放棄。
いわゆる「リンチ・ワールド」が延々三時間続く、ある意味で苦行であった。
夜中に見たけど、寝そうで眠れないギリギリのラインをよろよろと飛ぶような映画であった。


この映画は、監督であるリンチが資金を出し、ちゃんとした脚本も無しにその日の思いつきで撮影した映像を繋ぎ合わせて作った、殆ど自主制作映画のようなものであるらしい。そう言う意味で、彼が自分のやりたい事だけをやったという映画なのだろう。
彼の映画を観ていると、「まるで夢を映像にしたようだ」と思ったものやけど、この映画は「まさに悪夢そのもの」と思った。
ストーリー的なつながりの無さとか、因果とか関係性を超越した出来事とか、意味のわからん、大げさすぎず小さすぎない恐怖とか、まさに悪夢そのものであったように思う。
ネットで見るとやたらとこの映画を褒める人が多くて「難解」とかいってやたらと小難しく扱って解釈を挑む人が多いけど、そういった行為にどれほど意味があるのか疑問である。夢を解釈するほど不毛な事はないんだもんよ。
映画にストーリや意味を求めたり、何かしらの爽快感や感情の高ぶりを求めるのではなく、ひたすら悪夢を楽しむ事が出来る人には楽しい映画かも知れない。
私は、本当ならそんな映画なんか観たくは無いと思う筈なのやけど、デヴィッド・リンチやし、ということでついつい観てしまい、ハァ?なんじゃこりゃ?と思いつつも、もしかしたら面白いかもしれない。と思う時点で、既に彼の術中にはまっているような気がする。
それに、悪夢そのものが映像化された物に近い映画だとしても、それはそれで珍しいかもしれない。
夢日記、というのはよくあるけど、これは夢映画みたいなもんやね。
以下の動画はデヴィッド・リンチが60年代に撮ったものらしいけど、こんな短編映画撮る人を理解しようとするのが土台無理な話であるような気がする。
それでも理解できないながらも、やっぱり凄いなぁ。と思うのであった。

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