パラドックスのパラドックス

仕事から帰ってひたすら寝た。
何通かのメールを送り、何通かのメールを受け取り、電気もつけたまま、コンピューターの電源も入れたまま、布団にもぐりこんで、今年村上春樹の代わりにノーベル文学賞を取った小説家の本を読む。
現代文明の中で生きる事に疑問を持った男が、インディオ達との生活で新しくて古い価値を知る話だったような気がする。
布団の中で本を読んでいたつもりが気付いたら寝ていた。
正確に言えば気付いたら朝だった。実に色々な夢を見た。やたらとリアルでグロテスクな夢ばかりだった。いや、リアルだからこそグロテスクなのだろう。
こうして一日が過ぎる。1歳の365分の1の年を取る。もし私のが70歳で死ぬとしたら、余生の12410分の1の時間を使ったと言う事になる。
時間をどんどん分割して行く事で感じる徒労感は、飛ぶ矢が止まって見えたり、アキレスが亀を追い越せないように見えたり、とたちが悪い。
それでも、「そうである」とは関係ない「そう見える」にもそれなりの真実があるような気がする。

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