HOWTO本の多様さは人間の欲望の多様さ

最近チェーン店の巨大店舗型の古本屋に行く事が多いのだが、今まで普通の本屋さんでは興味が無くて通り過ぎる事の多かったジャンルの本棚も見ることが多くなった。
一番驚いたのが、世の中には「上司や友人による新郎新婦へのスピーチ」或いは「披露宴での花嫁から両親への手紙」などといったスピーチ系の本がかなり沢山あることだった。
パラパラと立ち読みしてみると余りにも無難なことが書いてあってちょっと笑えて来る。
健康やうつに関する余りにも胡散臭い本の多さにもちょっと驚いたのであるが、その中で「うつは神様がくれたメッセージ」的なタイトルの本を見つけた。(正確なタイトルはうろ覚え)
一見毒にも薬にもならない無難なタイトルのような気がするが、実はこれはとてつもなく恐ろしくて無茶振りなタイトルなのではないだろうか?
本当にうつの人が、自分のうつ状態を神からのメッセージだと解釈すると「そうか、神様はお前はダメ人間だから死んだ方が良いよって言ってるのか…」と受け取ってしまう恐れが多分にあるような気がするのだが如何だろう。


さらに、「買って読むだけでお金が儲かる」的な本も結構多い。
買って読むだけで儲かるなら何ぼでも読むけど、むしろ「買って読むだけでお金が儲かる」のは本を書いた人とその本を出版した人ですな。
いやいや、古本屋の場合は古本屋しか儲かりませんね。
それから、突っ込み待ちのボケとしか思えないような「読むだけで欲が消える」「読むだけで東大に合格する!」「読むだけで体力が戻ってくる!」的な本は「ロボトミー手術かよ!」「進研ゼミですね。わかります。」「土偶はベホイミを唱えた。しかしMPが足りない」などと丁重に突っ込まずにあっさりスルーするのが礼儀であろう。
あと、女性向けの「メイク・ラブを楽しく極める!」「~~するだけでモテ体質になる!」的な本も多い。
これはぜひ立ち読みしてみたいのだが、ちょっと恥ずかしすぎて出来ない。
是非とも読みたいのだが、やっぱり恥ずかしくて手に取ることができず、エロス本を買えずに苦悩する中学生のように、棚を横目でにらみながら通り過ぎるしかない。
「~~だけで~~出来る」的なHOWTO本の多様さは人間の欲望の多様さを如実に表しているようで、棚を眺めているだけでとても可笑しいのだが、
私としては是非とも「読むだけで、お金が儲かり、欲が消えて、東大に合格して、体力が戻ってきて、メイク・ラブを楽しく極めて、モテ体質になって、臆せずに女性向けHOWTO本を立ち読みできる!」などといった、明らかに対立して矛盾している欲をもまとめて一度に叶える、盛りだくさんな本を読んでみたいのであった。

2件のコメント

  • んですな。
    おまけにどれもこれも100円でも売れない本に成り下がってしまうところがまた泣けてきますですよ。

  • 相変わらずこの手の本て、内容は殆ど変わらず外側だけ少し変えていつの時代も本屋に並び続けてますな。
    そして時代とともにダウングレードしまくってるような。
    欲望の多様さもさることながら、出版社の姑息な小銭稼ぎの常套手段てのが泣けてきます。

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