恐れるな若者よ

天気が悪いので今日も引きこもる。日曜日はオペラと言うことで大音量で聴きまくる。
オペラに関する素養が少なすぎるので、聴きながらもネットで色々調べ、冬眠前のリスのごとく色々な知識を溜め込んだ。
家にいながらもちょっとした調べ物なら問題なく出来る世の中と言うのは便利やなぁと改めて痛感。


しかしながらインターネットっつうのは、軽いレベルの共有知の裾野を広げると言う意味では個人の知を範囲を拡大したように思うけど、余りにも簡単に情報が手に入るので、個々の知識から導き出される知恵のレベルでは、個々をバカの方向に引っ張ってゆくんじゃないだろうか?
検索すれば大概のことはわかるけど、大体は表面的なことばかりで蓄積されるのは知識ばかり。何かをわかった様な気になるけど、気ばかりで知恵がついてこない。
考えなくても知識が手に入り、知識だけで事足りるような知しか使わないような生活をおくっていると、「知識バカ」になってしまいそうだ。
他から得た知識と言うのは道具に過ぎないのであって、ようはそれで何をするかが問題なのだ。
色々な物に対する知識の広さと量と正確さと、それらに対するアクセスビリティで言えば、紀元前のギリシャの哲人や19世紀ロシアの文豪より、21世紀に住むわれわれの方がはるかに勝っているのは間違いないだろう。
しかしながら、われわれが彼らより知恵があるのか?と言うことに関しては考える間でもなく明白だ。
情報や知識が多ければ多いほど知恵は育たなくなる。とまで言うつもりは無いけど、
いうまでも無く人間の脳のキャパシティーは有限である。
無駄な知識や情報を頭に詰め込むのだけに精進していては、知恵が生まれる時間も脳に知恵が宿る場所も無くなってしまうだろう。
流行やとか最新情報から遠ざかるのは怖いけど、要らない知識を身につけず、不必要な情報から遠ざかるあり方も検討されて良いのではないかと思った。
amazon ASIN-B000002RUEOtto Klempererが指揮するモーツァルトの「魔笛」を聴いた。
何でもこのCDは「台詞」の部分が無く、普通のオペラとは違う構成なのだそうだ。
いずれにせよ今まで聴いたオペラは「抜粋」なる「台詞」が無い物ばかりが殆どなので、違和感など全く感じなかった。
いかにもモーツァルトらしい派手な歌曲で安息日なる日曜日にふさわしい。
「夜の女王」役、Lucia Poppのソプラノが素晴らしい。一幕の「恐れるな若者よ」と二幕の「復讐の炎は燃えて」のアリアで繰り出される人間離れした高音がなんとも心地よかった。

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