俗人五衰

家に帰って『天人五衰』を読み始めるも、ちょっと本を読む気分では無くなったので、本を閉じて音楽に聴きいる。
先日買ったフリードリッヒ・グルダの二回目のベートーヴェンのピアノソナタ全集録音の中の最後のCD、つまりベートーヴェンの最後の3つのピアノソナタ、30番、31番、32番、私が世の中で一番好きな曲の一群、言い換えれば最も慰めとなる曲の一群でもある。
収拾がつかない自己の分裂と断絶は世界が混沌である事の表象であり、とてつもない喪失感はそもそもの最初から何も無かったということの現れであり、全ては赦され得ない認識は逆に全てが赦されている証拠でもある。
世界がそういった不毛のあり方をしていても、それでも、そんな世界は美しい。世界に祝福あれ。とする精神性は素晴らしい。

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