清くて純粋で脆くて尖った風

昼前に起きてオムレツとパスタを作って食し、繕い物とボタン付けをして、ヘチマを収穫してから黒澤明の「蜘蛛巣城」を見る。
夕食後ヲクで物欲を見たし、風呂でポリーニを聞きながらパスカルの『パンセ』を大量の汗を流しつつ読む。
日付が変わるころに自転車に乗ってレンタル屋に繰り出す。
寒いのは好きではないけど、身を切るような冷たい風の中を自転車で走るのは好きだ。コートとマフラーと手袋と伊達眼鏡と帽子を装備して寒さに立ち向かいながらも、顔を吹き抜けてゆく風の冷たさが好きだ。
冬の空気の刺々しいまでの冷たさは清らかで純粋で脆い何ものかを連想させるからだ。
普段我々を取り囲んでいる世界の余りの汚濁に引き換え、清くて純粋で脆くて尖った風に身を切られるのはなんと心地好いものだろうか。

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