ベートーヴェン:最後の三つのピアノソナタ : グレン・グールド

amazon ASIN-B000ULLNQ4音楽カテゴリに、しかも私の愛するグレン・グールドとベートーヴェンとその最後の三つのピアノソナタについてのエントリにコメントを頂いたので、持っているCDから一枚紹介してみる。
あの強烈なデビュー作である55年版ゴールドベルグ変奏曲によってグレングールドの名は世界に知られたわけやけど、彼がその興行的な大成功の次に録音する事を望んだのがこのCDの三曲、ベートーヴェンの最後の三つのピアノソナタであった。
一般的にこのベートーヴェンの30番、31番、32番の三つのピアノソナタは重くて深刻で天上の高みにあるとも言われて、余りに大層な扱いやら有難がられ方をするものやけど、グールドはそんな扱いに疑問を抱き、新しい解釈を世に問いたかったのかもしれない。


30番は彼自身が第1楽章の美しさを褒め称えていたらしい割には余りに溜め無しにあっさり弾いてしまう、なんというかツンデレな30番である。
それに引き換え31番はテンポが遅い目やけどなんとなく不自然なくらいに丁寧な印象を受ける。彼の丁寧な演奏と言うのはちょっと薄気味悪いけど、次の32番はこれでもかと言うくらいの怒涛のテンポで繰り出されて殆ど適当とも言えなくも無い演奏である。
初めて聴いた時は私の大好きな32番の第二楽章の五つの変奏の適当さと、31番の第三楽章後のフーガのわざとらしさに怒りさえ覚えたけど、今となればこのぶっ飛び加減がとても素晴らしい。
今までの重々しい深刻な解釈と真っ向から対立するような演奏で、ジャケット写真のようなうっとりグールドでやっぱりベートーヴェンと言うよりはグールドという雰囲気満点である。
京都のラーメン好きは「天下一品のラーメンはラーメンではなく天一という食べ物である。」という事をよく言うけど、同様にグールドはバッハを弾こうがモーツァルトやベートーヴェンを弾こうが、グールドにしか聞こえない。
以前から私は以上のような根拠で「グールドは天一」という説を唱えているけど、このCDは「グールドは何を弾いてもグールド」というところを余す事無く示してくれるCDでは無いだろうかと思う。
何気に密かに私の中々の愛聴版である。

4件のコメント

  • いいですねぇ。
    私が
    ベートーヴェンの
    後期ピアノソナタ3曲を聴いたのは
    アシュケナジー版(2回目)
    リヒテル版
    だけでしたが、
    グールトの演奏を聴いて
    先の2者に無い
    温かさと言うか
    親しみやすさを感じて
    結構好きです。
    また
    グールドが結構
    格調高い演奏をしている
    ブラームスのピアノ曲集も
    大好きですよ。
    (曰くつきのピアノ協奏曲では無くて…)
    そうそう
    グールド特集は 今夜
    普通のNHKで やりますよ!

  • 情報ありがとうございます!昨日教えて頂いたとおりNHKのグールド特集見ました。
    なかなか面白い番組でした。
    上で仰ってるグールドのブラームスは番組の中で言及されていましたね。今度聞いてみようと思います。
    来週は私がグレン・グールドに開眼した81年ゴールドベルグの話ということでとても楽しみです。教えていただいて本当にありがとうございました!!

  • はじめまして。最近このグールドの演奏を聴きました。書かれている通り、30・31番は彼にしてはまっとうな演奏かと思いますが、32番の第4変奏以降は普通の演奏とはテンポ設定が違いますね。ベートーヴェンを聴くというより、グールドを聴いている気がします。
    グールドのこの録音よりもずっと昔から、バックハウスはかなりの速いテンポで弾いています。演奏時間が第2楽章で13分少しです。
    それを聴いているので、グールドのテンポの速さ自体は驚くようなものではありませんが、ピアニストが前面に出てきてしまうのが、良くも悪くもグールドの特徴ですね。
    私はグールドの演奏の中では、ブラームスの小品集とベルクのピアノ・ソナタがとても優れていると思っています。

  • はじめまして、コメントありがとうございます。
    お返事が遅れまして申し訳ございません。
    確かにバックハウスの演奏も早いですね。ベートーヴェン好きであり、かつグールド好きだからといって、グールドの弾くベートーヴェンがベストだと限らないのはあたりまえなようでいて不思議です。
    グールドのブラームスの小品は最近聴いてかなり気に入りました。ベルクのピアノソナタについてはまだ聴いた事無いので聴いてみます。
    ブログ拝見いたしました。ちょくちょくお邪魔して勉強させていただきます!
    ではまたよろしければ当ブログにもお越しください。

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