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2010年3月15日

『奇界遺産』/私だけの真善美

amazon ASIN-4767808987この『奇界遺産』なる、世界中のぶっ飛んだ建物や施設や人ばかりを集めた、分厚くて大きな写真集、始めて本屋さんで見た時、帯に漫☆画太郎先生の「そろそろ自殺しようと思ってたけど、この本見てたらワクワクしてきて来年に延期した!」 という言葉が書いてあって、ちょっと興味を引かれて中をぱらぱらめくって見ただけでかなりの衝撃を受けた。
一瞬買おうかと思ったけど、3800円とちょっとお高いのでとりあえずその場は踏みとどまって買うのは控えた。
しかしやはりどうしても欲しい。思い出せば思い出すほどますます欲しくなるということで、悩みに悩んだ末とうとう買ってしまった。
本屋さんでの立ち読みでの衝撃は、家でゆっくり読むとマイルドになって味わいを増す。
ほとんど寝る場所すらないアパートの一室で私財をなげうって極貧で反重力装置を本気になって開発しようとしている野良研究者、地獄を表現するつもりが、どう考えても趣味で残虐でエグいオブジェばかりが並んでいることになっている寺院、諸葛亮孔明の子孫だという怪しげな道具に囲まれた怪しげな人々が暮らす村、など、一般人の想像力のかなたにある、マッドでサイケデリックな人、物、事ばかりが集まった写真集である。


kongou01.jpg場所によって、時代によって、個人によって、そして立場によっても真・善・美はいくらでも変わりうる。
最近、人が深い信念を持ってその存在をかけてやっていることは、それがはたからどう見えようが、美しくて尊いものであると確信するようになったのだが、この本に載っている人や建物や施設のそのどれもがそういった尊さや美しさを持っているように見える。
どう見てもまともに見えなくても、ぶっ飛んだ中にそれなりの真実や善や美を見つけて表現しようとする眼差しを感じる。
他人が見ても理解されず、頭がおかしいと思われ、気持ち悪がられるしかないようなことでも、本人たちにとっての真実や美や善を追求した結果なのであれば、それは美しくて気高いことなのだと思う。
周りと外れて人としての道を踏み外したように言われながらも、自分の抱く真善美を貫いて共に生きている人々を見ていると、なぜか胸が熱くなるのであった。



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