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2008年1月2日

岡本喜八 「肉弾」 (1968/日)

この日の四連続で観た映画の最後は岡本喜八の「肉弾」である。
太平洋戦争末期、洋上に浮かぶ魚雷に括り付けたドラム缶の中で特攻攻撃をするために敵の船を待ち続ける男が、爆薬を抱いた肉弾となって敵の戦車に特攻攻撃を仕掛ける事が決定した日から今までを回想する。
戦争に疑問を持ちつつも戦争反対を叫ぶわけでもなく戦争から逃げるわけでもなく従順に戦って死のうと思い続ける一人の男の物語。死ぬ為の直接的な理由となる特攻するべき相手と、死ぬための精神的な理由となる守るべき相手を探す様が喜劇のタッチで描かれる。
海に浮かぶ魚雷に括り付けたドラム缶、その中でメガネの兵隊が番傘をさしているだけで映画としてとても絵になっていると思う。
監督自身の戦争に対する個人的な思いが多分にはいっている映画であるという事らしい。


一人の文系大学生が戦争をどう捉えていたのかと言うのがとても良くわかった様な気がする。
泥沼の戦争を続ける世を否定するでもなく、諦念を抱くでもなく、ニヒルに見るでもなく、知的過ぎず、飄々と周りを見る男。
もうすぐ負ける戦争を続ける事に意味を見出せないながらも、特攻隊に任命されてそれを受け入れる。
特攻隊となる事で神になる。と言われて「人間が良い」と思いつつも、自分の状況を受け入れながらも納得しきれず偶然出会った少女を無理やりっぽく愛する事でこの少女のために死ぬと叫ぶあたりはなんともたまらん。
そういう風に自分が死ぬべき戦うべき個人的な理由を無理やり作り上げて皆戦争をしてたんやなと言うのが伝わってきた。
結局守るべき者を失った挙句に敵を見つける事も無く死ぬ事も出来ず、挙句に戦争に負けた事を知った主人公の「バカヤロー」の叫びがなんともブルーであった。
いつも行くレンタル屋に岡本喜八作品が全然無くて残念やなぁ。もっと見たいなぁと思う。

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