アーサー・C・クラーク『幼年期の終り』 / 私はまだSF読み幼年期? /UFO党の言いたいことが分った

amazon ASIN-4150103410SF史上の傑作として名高いアーサー・C・クラークの『幼年期の終り』を読んだ。SF界に燦然と輝く傑作だと言われるだけあって文句なしに面白かった。
人類の進化と滅亡について書かれたこの作品は、映画やSFだけでなく純文学やなどを含む、後のさまざまなジャンルのさまざまな作品に抜きがたい強烈な影響を与えた作品であるらしい。
色々な出版社から色々な版が出ているが、私が読んだのはハヤカワ文庫のものであった。
最近はかの「光文社古典新訳文庫」からも新訳が出ているらしい。

アメリカとロシアの宇宙開発競争が頂点に達し、いよいよ人類が宇宙に飛び出そうかという瞬間、突如として地球上の大都市の上空に宇宙船が現れる。
彼らは何をするわけでもなく殆ど地球に干渉せずに浮かんでいるだけにもかかわらず、すべての面で地球人を上回る超科学を持った彼らを前にして、地球は急速に変わり始める。
50年が過ぎ、国境と貧困と宗教と戦争が消えてユートピアとして生まれ変わった地球の前に始めて彼らが降り立ち、地球のユートピア化は急激に進み始める。
一方、生活の保障がされている中、芸術を愛する人々は一つの島に集まって独自のコミュニティの中で共同生活とを営むが、彼らの中で大きな異変が起こり始める。
そしてそんな中宇宙から来た彼らの本当の目的が徐々に明らかにされる。と言う感じのストーリである。


ハーラン・エリスン、ロバート・A・ハインライン、ジェイムズ・P・ホーガンと読んで次にアーサー・C・クラークのこのあまりに有名『幼年期の終り』を読み始めてやっとSF読み幼年期といったところだろう。
次はフィリップ・K・ディックだな。
このアーサー・C・クラークが原作であるキューブリックの「2001年宇宙の旅」にスターチャイルドってのが出てきたけど、なるほどこの小説を読めば、それがなんであったのかが良く分った。
この人は過去の色々な歴史の流れを踏まえた上で、人間の種として進化とか、地球の行く末とかをSFを通して考えたり提示したりする人なのだろう。
科学的考証と前提に基づいてストーリーが展開してゆくのに、突然非科学的な部分がストーリーのポイントとして割り込んでくるのがとても面白かった。
合理的物質世界を極めた彼ら宇宙人と、その全く逆を行こうとする地球人の対比が面白かった。
昔、UFO党なる政党が地球人では地球を浴することは出来ないから、宇宙人に何とかしてもらおう。ってな事を言っていて(ような気がする)そのあまりに突飛な発想に大笑いした記憶があるのだが、この小説を読んでみると、今になってUFO党の彼らの言わんとすることが大変よく分った。
地球人に望みを失い、宇宙人に救いの手を差し伸べるというのは絶望の一つの形であったのだろう。
なるほど彼らの絶望の深さと、彼らの考え方にもちょっとだけシンパシーを抱いたのであった。
リンク:UFO党政見放送

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