乙武洋匡『自分を愛する力』/「自分を愛する力」は「他人を愛する力」でもある

友人が「グッと来た」といっていた乙武洋匡『自分を愛する力』を読んだ。

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以前読んだ氏の『五体不満足』が予想していた内容とまったく違う、いわば「タレント本の様な読後感」だったのでズコーとなったのだが、

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この『自分を愛する力』はこんなにも自分を肯定して愛している彼が「自己肯定感」について語るという、テーマとしては重くて深いところを扱った本である。

章立てとして分かれた「息子として」、「教師として」、「父親として」の三つの視点から子育てについて語ることで「自己肯定感」をいかに育むかということが書かれているのだが、

彼自身の「自己肯定感」としては目立ちたがり屋で我の強い彼自身の性格と、彼の両親や先生や友人に深く愛されたおかげで彼自身の様々なハンディキャップを否定的に捉えることがなかった。ということになってしまうのかもしれない。

ゆえにこの本は自分を愛する力」なる言葉に一番に反応する「他人も自分も愛せない私を愛して欲しい人たちが期待する、「このままでいいんだよ」とか「そのままの君が好き」などという心理学的メンタル的綺麗ごとの馴れ合いの言葉を一切無視した苦悩と戦いの記録である。

そして読んでいると、「自分を愛する力」が実は「他人を愛する力」とほぼ同義であるかが良くわかるし、意味上は自分ひとりで完結しそうな「自己肯定感」だとか「強さ」もまた決して自分ひとりでは獲得できるものではないという現実もまた理解されるのである。

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